10/16/2023
膠着 (こうちゃく) 状態に陥っているテキサス州の新幹線建設計画に、全米鉄道旅客公社 (アムトラック) が資金確保などで協力を表明した。
JR東海が支援しており、実現すれば日本メーカーが車両やシステムを納入できる公算が大きいだけに、計画が前進するかどうかが注目される。
ただ、300億ドル (約4兆4,800億円) と試算される総事業費の壁は高く、資金調達は依然難題だ。
同州の主要都市ダラス ― ヒューストン間 (約385キロ) を片道1時間半弱で結ぶ計画で、地元企業テキサス・セントラル・パートナーズ (TCP) が手掛けている。
資金が十分集まらないなどの課題がある中で計画の延期を繰り返し、開業目標として掲げた2026年も実現は絶望的だ。
アムトラックは今年8月、TCPとともに調査と設計の推進に向けて複数の連邦補助金を申請したと表明。
米国の都市間鉄道を幅広く運行するアムトラックの後ろ盾によってバイデン大統領の肝煎 (きもい) りのインフラ投資法による補助金を獲得し、民間資金の上積みも狙う。
アムトラックのアンディ・バイフォード上席副社長は「当社の経験を生かせることを誇りに思う」と意気込む。
車両は東海道・山陽新幹線と西九州新幹線で使っているN700Sをベースとし、最高時速320キロ超で走らせたい考えだ。
日立製作所や三菱重工業なども支援し、JR東海は「アムトラックには米国での鉄道プロジェクト整備で豊富な経験・実績があり、参画は計画推進に大きなメリットが期待できる」とコメントした。
だが、民間から見込める資金は「必要額に遠く及ばない」 (関係者) とされる。
金融関係者は「投資家は米国の旅客鉄道は利益が出ないと受け止めており、恒常的な赤字で補助金頼みのアムトラックが協力しても説得力がないため、資金調達は困難だろう」と話す。
*Picture:© BrandonKleinPhoto / shutterstock.com