Saturday, 22 February 2025

「法の支配」損なう恐れ 検察白旗、責任不確定

11/30/2024

トランプ次期大統領の議会襲撃事件をめぐり、ワシントンの連邦地裁は担当のスミス特別検察官の求めに応じ、起訴の取り下げを認めた。

検察が白旗を揚げたことで「大統領の刑事事件」は責任の所在がうやむやのまま終結した。



「刑事訴訟は中身がなく違法だ。

起訴すべきではなかった。

1億ドル (約154億円) 以上の税金が無駄に費やされた」。

トランプ氏は起訴取り下げを受け、勝ち誇ったかのように自身のソーシャルメディアに投稿した。


2020年大統領選でトランプ氏が敗北した結果を覆そうと、支持者らが翌年1月に議会を襲撃した事件。

トランプ氏は襲撃直前の演説で「死ぬ気で戦え」と支持者を扇動したなどとして起訴された。


スミス氏は連邦地裁への申立書で、起訴内容に間違いはないとしたが、現職大統領の起訴は憲法上できないとされており「起訴を取り下げなければならなかった」と説明。

機密文書持ち去り事件でも、トランプ氏の起訴取り下げを連邦高裁に申請した。


トランプ氏の刑事責任を厳しく追及し、民主党支持者から「米国のヒーロー」と呼ばれたスミス氏。

トランプ氏は、自身が返り咲けば「2秒でクビにする」と警告していた。

関係者によると、解任前に事件の区切りを付け、辞職する意向だという。


4つの事件で起訴されたトランプ氏は、大統領選勝利という「民意」が力の源泉になっている。

有罪評決を受けた不倫口止めに絡む事件の量刑も延期された。


NYタイムズ紙のジェシー・ウェグマン論説委員は「トランプ氏の大統領選勝利により、法の優位性を重んじる憲法に反する状況が生じている」と寄稿し、苦しい胸の内を吐露した。

(2024年12月16日号掲載)