Tuesday, 25 June 2024

米中首脳オンライン会談、相互理解図る 台湾・通商で平行線、気候変動は協力模索

2021年11月18日

バイデン大統領と中国の習近平国家主席は米東部時間11月15日夜、オンライン形式で会談した。

1月のバイデン政権発足後、両氏の顔合わせは初めて。

米中競争が激化する中、対面式の会談に準じる形で「深い対話」 (米高官) を図り、意図せぬ衝突を招かないよう相互理解を進められるかどうかが焦点となる。

双方は中国が軍事圧力を強める台湾のほか、人権通商の問題で互いの立場を譲らず、今後も議論が平行線をたどる可能性が濃厚。

気候変動新型コロナウイルスの対策など地球規模の課題では協力を確認する見込みだ。

共同声明は予定されていない。

米側は競争が制御不能になり、偶発的な衝突に発展しないよう「誤解や誤算を防ぐガードレール」 (米政府高官) の役割を果たす共通認識の形成を狙う。

中国側は「米中間の相違点を管理し、関係を健全で着実な発展の正しい軌道に戻す」 (習氏) ことを目指す。

バイデン氏は台湾を含む安全保障問題、新疆 (シンチャン) ウイグル自治区などの人権問題、不公正な貿易慣行など米側の懸念を率直に伝達。

「21世紀を規定する競争相手」と位置付ける中国に「強い立場」で臨むため、日米豪印4か国による協力枠組み「QUAD (クアッド)」の強化や、米英豪の安保枠組み「AUKUS (オーカス)」創設など同盟・友好国と共に中国をにらんだ連携を深めてきた。

中国側は台湾について「中国の不可分の領土で、『一つの中国』原則を守るべきだ」と主張。

新疆や香港の問題の指摘には「内政干渉」だと激しく反発し、オーカスなどは「排他的なブロック」だと批判している。

サリバン大統領補佐官 (国家安全保障問題担当) は11月16日、バイデン大統領と中国の習国家主席がオンライン会談で、核軍備管理を含む戦略的安定に関する議論の前進を模索することで一致したと明らかにした。

ブルッキングズ研究所のウェブ会合で語った。

米国は核戦力を増強している中国を核軍縮の枠組みに引き込みたい考えだが拒否されてきた経緯がある。

サリバン氏は会合で、核弾頭や極超音速兵器を含む軍備管理に加え、サイバー分野などでの米中協力を問われ、バイデン氏が戦略的安定に関する一連の対話の必要性を習氏に訴えたと説明。

ウォールストリート・ジャーナル紙によると、習氏は中国側も高官が対話に応じる可能性を示唆したという。

また、サリバン氏は「安全保障、技術、外交を横断する双方の高官チームが主導する必要がある」と指摘。

ロシアとの間で積み重ねてきた戦略的安定対話とは異なり、暫定的な話だとして詳細な説明は避けたが「最も生産的な方法を考えることがわれわれの責務だ」と強調した。


ただ、WSJ紙によると、中国政府当局者はこうした対話を決定しておらず、民間有識者による対話の選択肢もあると述べたという。

さらに、サリバン氏は台湾問題などで米中の競争が衝突に向かうのを回避するために、両国の対話をさまざまなレベルで強化するとも訴えた。

「誤解を避けるために明確な意思疎通を図ることは双方の軍や外交官の間で集中的に取り組むべきことだ」とした。

会談でバイデン氏が東・南シナ海での中国の活動に「懸念」を伝えたことも明らかにした。

(2021年12月1日号掲載)