Tuesday, 25 June 2024

航空運賃「悪用」に警鐘 米大手、3年間搭乗禁止も

2023年12月4日

米国で航空運賃が高騰する中、経由地で降りて乗り継ぎ便に搭乗しないことで出費を抑える「スキップラギング (skiplagging)」が問題化している。

扱う業者は運賃体系の穴を突いて「格安料金を提供している」と謳 (うた) うのに対し、運送約款で禁止した航空会社は「悪用だ」と警鐘を鳴らす。

利用者の航空券を没収し、3年間の搭乗禁止としたケースも起きた。


航空運賃は燃料費や需要、他社との競合など様々な要素に基づいて設定され、単純に旅行距離に
応じて決まるわけではない。

これを逆手に取り、訪れたい都市への直行便を購入するよりも、訪れたい都市を経由して別の都市
まで飛ぶ航空券を割安な価格で買うのがスキップラギングだ。

違法ではないが、乗り継ぎ便に搭乗しないことで出発の遅れを招いたり、他の顧客の予約機会を奪ったりする恐れがあり、全日本空輸や日本航空も約款で「実際の搭乗を目的としない予約行為を禁止します」と釘 (くぎ) を刺している。


ニューヨーク・タイムズ紙 (電子版) によると、アメリカン航空はフロリダ州ゲインズビルの空港で今年夏、スキップラギングを企てた当時17歳の少年からノースカロライナ州シャーロット経由のNYまでの航空券を没収。

シャーロットまでの航空券の買い直しを求め、3年間の搭乗禁止とした。

ニューヨークまでの航空券は150ドル (約22,000円) と、シャーロットまでより300ドル程度安く売っていたという。


アメリカンは8月、スキップラギングの航空券を販売する業者を相手取ってテキサス州の裁判所に提訴した。

だが、ユナイテッド航空がかつて業者に対して起こした訴訟は棄却された。

この業者は公式サイトで「訴訟になったが、当社が勝利を収めた」と主張している。



(2023年12月16日号掲載)