櫻井 真理
育英セミナー・サンディエゴ校室長
日本の某高校にて国語教諭として勤務。その後、育英セミナーの教育活動に賛同して転職。
現在はサンディエゴ校室長として海外子女教育に力を注ぐ。
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これからの小論文の話をしよう(1)
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Q 最近の帰国生大学入試では小論文が重視されていると聞きました。
でも、現地校やSAT・TOEFLの勉強が忙しいので、後回しにしてもいいでしょうか?
A 小論文や国語は現地校卒業後、直前の夏だけで間に合うと、日本の予備校の一部カウンセラーは言います。
しかし彼らは、海外で生徒たちがどのような学習環境に置かれているのかを知りません。
「間に合う」 理由は何ですか?
それは、海外にいながらも地道に小論文の勉強を続けてきたからです。
小論文の答えはひとつではありませんし、体験談作文ではないですから、付け焼刃の知識ではなく「自調自考」が要となります。
その努力の積み重ねがなかったら、決して「間に合って」 いなかったでしょう。
Q 帰国生大学入試の概要について教えてください。
A 帰国生大学入試は4つのグループに分かれます。
①統一試験などの書類審査 (と面接)。早稲田国際教養・上智国際教養・ICU秋入学など。これらは、入学後も英語を主とした授業を行います。
②書類選考に合格、もしくは出願基準点を満たせば、二次選考 (小論文・面接) での合格率が8割以上。慶應 (医・薬を除く) など。
③書類で一次選考をするが、二次選考 (英語・小論文・理数・面接など) の絞り込みが厳しく、倍率が3倍以上。東京・京都・慶應 (医・薬) など。
④統一試験が不要または合否に影響せず、当日の「本番」試験で決まる。早稲田・上智・GMARCHなど。
①が最も少なく、②→③→④の順に多くなっていますが、①、②グループを第一志望とするなら、統一試験は侮れません。
また、②+④の受験パターン (早慶上智のどれかが第一志望) が大多数なので、結局、統一試験も当日の「本番」試験の準備も必要です。
統一試験の受験機会は、卒業時の6月が事実上最後ですから、これらの対策を「後回し」 にすることはできません。
問題は、小論文・国語などの「本番試験」対策を「後回し」 にできるのかどうかということです。
Q では、小論文の勉強はいつから始めたらいいのでしょうか?
A 小論文の勉強は奥が深いものですから、いつ始めても早すぎるということはありません。
小論文の試験そのものに役立つのはもちろん、他の教科や現地校の学習、海外での生活全般に対する相乗効果があるからです。
しかし、それを英語の学習 (現地校の勉強と統一試験=SAT・TOEFL) をしない言い訳にしてはいけません。
また、小論文にせよ、統一試験にせよ、「これだけやっておけばいい」 的な一点突破の発想は、要するに「できるだけ勉強をしないで何とかする」という発想ですから、すべて「逃げ」です。
Q あっという間に11年生が終わろうとしています。
受験に間に合わないのではないかと心配です …。
A そもそも、受験に 「間に合う」「間に合わない」 だけが問題でしょうか?
受験や「合格実績」 だけを見て、アメリカの高校生活の現実や合格の先にある大学、そして大学の先にあるさらなる将来を見ずに、教育を考えることが可能でしょうか?
統一試験だけで受かる大学がある、面接だけで受かる大学がある、小論文だけで受かる大学がある。—— あるかもしれないですが、「だから?」 という話です。
グローバル化に翻弄されている今の日本を見据えれば、もはや「昨日と同じ明日」「よい大学 → よい会社 → よい人生」という図式はあり得ません。
未だ答えのない問題を発見し、解決策を導き、さらにそれを説得するような知的バイタリティこそが必要ではないですか?
だからこそ、一芸ではなく、総合力を磨くことが大切なのです。
大丈夫です。今からでも、遅くはありません。
自己成長していく過程を楽しみながら、一緒にがんばってみませんか?
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(2014年3月16日号掲載) |