曽 碧光
米国中医薬研究所所長
1932年台湾に生まれる。
東京大学農芸化学修士、米国カンサス大学微生物学修士、東京大学薬学博士、 元米国コネチカット大学病理学助教授、第1 回世界中西医結合大会審査委員、セント・エリザベス病院 (ボストン) 筋ジストロフィー主任研究員、ドライ・アイ眼科研究所生化学顧問、元米国漢方研究所所長、現米国中医薬研究所所長。
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老化は足から |
Q : 「老化は足から」という中国の古くからの養生訓と、現代医学で言われている腰痛防止と骨折予防は、長寿を考える上で重要な課題と思われますが、それぞれの考え方の共通点をお教えください。
A : 「老化は足から」という養生訓は、老化を防ぐにはよく歩くことが最善であることを意味しています。 最近の医学報告でも、活発に運動していると老化とボケの防止になると報じています。 人間が直立して歩くようになってから人間の脳が発達したと言われています。 従って、足の裏には脳を刺激し、活発化させるツボがあり、そのツボを刺激しなくなるとボケると鍼灸医学で考えられています。 腰痛防止と骨折予防が長寿を考える上で重要な課題になっているのは、元気な人でも腰痛や転倒によって骨折のアクシデントがあると、行動範囲が狭まり、全身状態が急速に衰えていくことが非常に多いからです。 実際に、高齢者が腰痛や骨折で寝込むことが多くなるとボケるケースがよく起こります。 加齢制御医学の権威である白澤卓二博士は、彼の著書『100歳までボケない101の方法』の中で、100歳以上生きた人たちにはボケた人がいなかったと述べています。 すなわち、ボケる人は長生きしないことになります。 「老化は足から」という養生訓と腰痛防止と骨折予防が長寿を考える上で重要な課題であるという理屈の共通点は、ボケ防止が健康長寿の鍵であると主張していることです。 腰痛の漢方治療として関節丸と加工附子の併用が優れた効果を上げています。 腰痛を早く治せば、家に閉じこもることがなくなり、外に出掛けて活動することができ、ボケ防止になります。 骨折予防には骨粗鬆症予防が重要な役割を演じていますので、漢方の健骨丸を服用することによって、骨粗鬆症薬フォサマックスなどの副作用を避けることができます。 ボケないことが健康長寿の鍵ですので、エクササイズに加えて、ボケ防止の漢方、黄連解毒湯と釣藤散を日常服用するのも一策です。
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(2012年8月1日号掲載) |