保科 みゆき Miyuki Hoshina Flavell
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ペット付きテナントとの契約 |
Q テナントから犬を飼いたいとリクエストされています。 善良なテナントなので、このままずっと住んでもらうために考慮中ですが、家のダメージも心配です。 もし許可するとしたら、契約書にある程度の制限を付けたいと考えていますが、その場合、法律上の問題はあるでしょうか? また、前もって知っておくべきことがあれば、教えてください。
A 良いテナントであれば、大家として、できる限り長く住んでほしいですね。 ただし、家へのダメージを考えて、前もってテナントといろいろなことについて話し合っておくことは大事だと思います。 ペットに関する条件は差別とはなりませんし、契約書に修正を加えることは大切な家を守るためにも、ぜひお勧めです。 尚、ペットを許可すると、マーケットレントより少々高いレント (2〜5%) が期待できるという統計も出ています。 また、ペットを許可する大家が少ないためか、ペット付きのテナントは1か所に長く住む傾向にあるとも言われています。
誰が世話をする? 昼間の時間に、テナントの誰かが家にいるかどうかチェックしましょう。 例えば、奥様が普段家にいて、常に犬の世話をできる環境であれば安心です。 1日中仕事で、誰も家にいない場合は、ペットが充分に世話されていない可能性が出てきます。 ただし、テナントへの差別とみなされる可能性があるため、これを理由にペットを断ることはお勧めしません。
床材をチェック? 1階の床は、タイル、フロアリング、カーペット、どのような材質ですか? ペットに最適なのは、傷や水に強いタイルフロアです。 最近のフロアリングはかなり強固になってきていますが、水に弱いため、ペットのアクシデントなどが少々心配です。 カーペットは汚れやクリーニングの面で、一番適さない床材です。 けれども、現存のカーペットがすでに古く、近い将来に取り替える予定であれば、ペットを許可するグッドタイミングです。 カーペットに対する責任がないという条件であれば、ペット付きテナントが少々傷んだカーペット状態を受け入れる可能性は高くなります。
契約書の作成、または修正 ① リース契約書にペットの種類を記載。One Dog という記載ではなく、種類、サイズ、年齢、名前などを明確にリストしてください。 また、「Non Visiting」 という言葉を記載しておくのも良いアイデアです。 あくまで許可した犬のみであり、友人の犬などが常に遊びに来ることを許可しないという条件を明記してください。
② 許可するペットに要注意。 ドーベルマン、ピットボールなど、ある特定の種類の犬は事故の多発性を理由に保険業界から危険視されており、保険のカバーから除外されていることが多くあります。 事前に必ず、テナントとペットの種類について確認をしてください。 また、ペットの年齢にもご注意ください。 生まれて間もないパピーの場合、トイレやチューイングなどのトレーニングが完了していない可能性もあります。 檻 (おり) やベビー用の柵などで囲うことができる間取りであれば、トレーニングが終了するまで、犬を家の1か所にキープすることも良いアイデアと思います。 また、パピートレーニングの学校に通わせるかどうかをテナントとチェックすることもお忘れなく。
③HOA=Homeowners Association 内の住宅では、ペットの種類、数、サイズなどに制限があります (例:犬、もしくは猫、2匹まで、合計体重40パウンドまでなど)。 事前に必ず、HOAと確認してください。 余談ですが、数年前に大型犬を持つホームオーナーが、HOAのペットサイズ制限に対して Discrimination (犬への差別) として訴えを起こし、勝訴した法廷ケースがあります。 最近は、ペットサイズに関してルールをあまり強制しないHOAもあると聞いていますが、多くのHOAはペット規制の緩和を行っていないようです。
④ デポジットの加算 (レントの約25%) を要求してください。 ただし、家のダメージがペットによるものかどうかを証明する必要が大家側に出てくるため、ペットデポジットという言葉は使わないことをお勧めします。
⑤ テナントが引越しをして、カーペットクリーニングを行った後に注意が必要です。 もし問題があった場合は、クリーニング後にカーペットの下のパッドに染み付いた臭いが出てくる傾向にあります。 また、蚤 (ノミ) 問題にも気を付けましょう。 蚤の卵が孵化 (ふか) するのに約2週間かかるため、ペットがいなくなってから蚤トラブルが発生することもあります。 テナントの保証金の返却は引越し後の3週間=21日間以内と法律で決められていますが、前もって駆除費用の見積額をホールドし、問題がないことを確認してから (約1か月間) 返却を行なうことは法律上認められています。 |
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(2013年1月16日号掲載) |