Friday, 26 July 2024

アテンション トレーニング (2011.12.1)

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suzukisan.jpg 鈴木 博美

ドッグトレーナー

2匹のゴールデンレトリバーとの出会いをきっかけに犬の世界に興味を持つ。楽しく、且つ効果のあるトレーニング方法を求めて渡米。ケープ・エイブル・ケーナ イン(Cape-Able-Canine) のドッグトレーナー研修プログラムを終了。現在、ケーナイン・トゥ・ファイブ (Canineto Five) を立ち上げ、日本語によるドッグトレーニングクラスも開講している。幼稚園教諭の経験もある。

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アテンショントレーニング

ドッグトレーニングに「絶対」はありません。

今日ご紹介するアテンショントレーニングもいくつもの段階があります。

とても大切なことは、あなたの犬の学習する意欲や経験によって、強化するタイミングが違うということを理解することです。
 

 

 

「強化するタイミング」とは何か
 

犬の行動に対して与えた何かが、犬にとって「やったぁ・うれしいなぁ」と思うものであれば、犬はその何か (通常、食べ物やおもちゃなどで、私たちはこれをご褒美ともいいます) をもっと欲しいと思い、その行動が頻繁に行われます。

しかし、犬の行動はずっと同じパターンではありませんし、止まることもありません。

ですから、強化するタイミングとはご褒美を与えるタイミングとも言え、トレーニングにおいては重要になります。

あなたが増やしたいと思う行動に的確にご褒美を与え続ければ、その行動が定着していくからです。

しかし、残念ながらご褒美はいつでも正しいタイミングで犬に与えられることが難しいのです。

ご褒美となるトリーツを常に携えているわけにはいきませんし、持っておくべきでもありません。

仮にポケットに入れていたとしても、ポケットから出すという僅かな時間でも、犬はもう次の行動に移っていることが多いからです。

犬は自分のどのような行動によって、どのような報酬を得たかを判断します。

報酬が授けられる行動を行ったときに「それだ!」という印を付け、その印の後には必ず食べ物などの報酬を与えます。

報酬に直接つながる印 (言葉や音) があることを学習し、この印が付く行動はどのようなものかを学習していくのです。
 

 

 

アテンショントレーニングの方法
 

アテンショントレーニングでは犬の意識と視線がオーナーに向くことを目的とします。

ここで目標とする犬の行動は「オーナーの顔を見ること」と設定します。

家の中から始めましょう。

ご褒美となるトリーツを10個ほどポケットに忍ばせておき、手を洗うなり、ガレージに行くなりして、少し時間的な間隔を作ります。

それから犬のところへ戻ってきて、犬があなたの顔を見たら「イエス」と印を付け、ポケットから1つトリーツをあげます。

犬にとっては「えっ?何で?何で?」と、なぜトリーツがもらえたかを考えるでしょう。

2、3歩移動した時に、犬が再びあなたの顔を見上げたら「イエス」と印を付け、ポケットのトリーツをあげます。

1セッションで5~10回の反応に印を付けて終了します。

1日に2~3セッションできればいいですね。

2日目には、この練習をする時に犬の名前を呼ぶことを加えてみましょう。

あなたの犬の名前を呼んで、それに反応したらトリーツをあげるわけです。

1セッション10回と決めましょう。

さぁ、何回反応しましたか。

最初の目標設定をあまり難しくしないように気を付けてくださいね。

トレーニング初期の段階では1つの行動に1つの目標設定からスタートして完成度を上げていきます。

オーナーの顔を見ることを目標に設定してスタートしているなら、犬は座っていても、立っていてもいいし、吠えていてもいいわけです。

飛びついているかもしれません。

あなたが集中することは、あなたの犬があなたを見た時に「イエス」と印を付けるタイミングを見逃さないことです。        

1セッション10回中10回とも確実に反応するようになったら、次の設定として、吠えずにオーナーの顔を見た時だけ印を付ける、または飛びつかずにオーナーの顔を見た時だけ印を付けるとします。
 

最終的には名前を読んだら次の指示を待つために吠えず、飛びつかず、オーナーの顔を見続けた時だけ印を付けます。

この同じ流れを戸外で、散歩の途中やいろいろな環境の中で練習していくことで行動の定着を図ります。

オーナー自身が印を付けるタイミングに集中してこそ、トレーニングが進んでいくのです。

ぜひぜひ、トレーニングの感想を聞かせてくださいね。

 

※ここで紹介する方法はあくまでも一般的なものです。犬の年齢・気質により大きく変化しますので、専門家と相談しながら取り組まれることを推奨します。
(2011年12月1日号掲載)

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