5/4/2025
サンディエゴ市からの分離独立を目指すラホヤの動きが再び進展した。
サンディエゴ地域の境界を監督する地方機関「LAFCO (Local Agency Formation Commission=地方機関形成委員会)」は4月30日、ラホヤ市政の確立を推進する団体 (Association for the City of La Jolla=ラホヤ市政確立推進協会) に対し、提出された請願署名が法定数を満たしていると認定し、分離の手続きが正式に始動することを通知した。
当初、郡選挙管理局 (Registrar of Voters) は署名が218件不足していると判断していたが、LAFCOが見直しを行った結果、過去に無効とされた署名240件を有効と認定し、総数が6,772件となった。これは必要とされる6,750件を12件上回る数であり、独立提案は次の審査段階に進むこととなった。
LAFCOの次の作業は、ラホヤが独立した場合に必要となる市域サービス (警察、公園管理など) の代替案を含む、財政・行政面での実現可能性の調査となる。この評価を経て、最終的にLAFCOの委員会で採決が行われ、承認されれば、サンディエゴ市全体の有権者を対象に住民投票が実施される予定だ。
一方、この判断に対し、サンディエゴのトッド・グロリア市長は激しく反発。声明では「LAFCOが無効とされた署名を認定したことは遺憾だ」と述べ、署名認定基準の正当性に疑問を呈した。グロリア氏は、署名の中には選挙人登録情報と一致しない名前や不完全な住所、不鮮明な筆跡のものが含まれていると主張し、選挙管理局の判断が覆された手続きの透明性について問題視している。
追加認定した署名の評価基準についてLAFCOから具体的な説明がなく、サンディエゴ市は法的手段を含めた対応を検討している。
ラホヤの独立を目指す市民団体は「多くの住民とボランティアの支援に感謝する。ラホヤの市昇格は次の段階に進んだ」と発表しており、今後の審査と投票の行方が注目される。
■ 賛成派の主張(独立推進派)
• 地域の自己決定権を確保したい :ラホヤ独自の財政・政策判断により、地域特性に即した行政サービスの提供が可能になる。
• 住民サービスの質向上を期待 :警察、清掃、公園管理などの公益サービスをラホヤのニーズに合わせて運営が可能になり、より効率的で高品質なサービスが実現できる。
• 住民の参加意識と透明性が高まる :より小規模な自治体となることで、政策決定過程に住民が関わりやすくなり、行政の透明性が向上する。
• 署名が法定数を超えたのは市民の意思の証明 :わずか12票差とはいえ、必要数を上回ったことは明確な支持の表れと判断。
■ 反対派の主張(サンディエゴ市・一部住民)
• 署名認定プロセスへの疑念:
グロリア市長はLAFCOが無効とされた署名を再認定した基準が不明確であり、手続きに重大な疑義がある。
• 分離による財政・サービスへの悪影響 :分離によってサンディエゴ市全体の税収やサービス分担に影響が及び、他地域の住民にも負担が広がる。
• 独立後のコストが不透明
:ラホヤ単独での行政運営には新たなコストが発生するが、その具体的な試算やサービス継続の実現性が未検証。
• 投票はサンディエゴ全体の問題
:仮に住民投票が行われる場合、ラホヤ住民だけでなくサンディエゴ市全体の有権者が判断するため、賛成多数を得るのは困難と予測できる。