Thursday, 21 November 2024

子供移民、サンディエゴなど米南部で急増 人道重視のバイデン政権に試練

2021年3月13日

人道的な移民政策への転換を掲げるバイデン政権の発足に伴い、サンディエゴなど米南部のメキシコ国境で、親の同伴なしで入国を試みる子供が急増している。

新型コロナウイルスの影響もあって米側の収容施設は逼迫。人道重視の姿勢が招いた危機との指摘も出始め、バイデン政権の試練となっている。
 

米メディアによると3月10日時点で、親なしで入国を試みた約3,700人が税関・国境警備局 (CBP) に拘束され施設に収容されており、2週間で3倍に急増した。

規則では72時間以内に厚生省に引き渡して親類や里親を見つける必要があるが、同省側の施設でも新型コロナ感染防止のため対人距離の確保などを進めており、子供を安全に収容できるベッドが足りていない。
 

米政府は、新型コロナ禍による経済悪化やハリケーン被害に苦しむ中南米諸国で、バイデン政権への期待が高まっていることが移民の波の背景にあると分析。

ホワイトハウスで移民対策に当たるジェイコブソン調整官は3月10日、記者会見し「国境はまだ閉ざされている。危険を冒して入国を試みないで」とスペイン語で訴えた。
 

バイデン政権は「危機ではなく難題だ。きちんと管理できている」 (マヨルカス国土安全保障長官=*写真) と主張し、拘束された子供の数の公表を拒否。

失策批判を回避しようと懸命だ。
 

だが、野党共和党からの「具体的な政策がない」との指摘に加え、民主党のオバマ政権の元当局者からも「ワクチン接種を済ませた欧州の企業経営者らが入国できないのに、メキシコ国境は歩いて越えられるというのが、政策の一貫性のなさを示している」と、厳しい声が上がっている。


Picture:© john smith williams / shutterstock.com


(2021年4月1日号掲載)