Thursday, 19 September 2024

致死率90%のエボラ出血熱

致死率90%のエボラ出血熱、開発段階の薬使用検討へ

SDの製薬会社による抗体作製、ハードルは安全性と倫理問題

2014年8月6日


ebora西アフリカでのエボラ出血熱の流行拡大を受け、米疾病対策センター (CDC) は8月6日、24時間体制で情報収集にあたる緊急対策センターの警戒を最高レベルに引き上げた。

ギニアやリベリア、シエラレオネでの死者が900人を超え、ナイジェリアでも感染が疑われる例が相次いでいる。

サウジアラビアでは感染が疑われる男性が死亡し、アフリカ以外に波及した懸念も高まっている。

エボラ熱はワクチンや治療法が見つかっていないが、開発中の治療薬はいくつか存在する。

米メディアの報道によると、西アフリカでエボラ熱に感染した米国人2人が、人体での臨床試験を経ていない治療薬の投与を受けて症状に改善がみられたとされている。

 
未承認薬の一つは「 Zマップ 」。

ケンタッキー・バイオプロセシング・LLC (ケンタッキー州オーエンズボロ市) が開発中のもので、使用されている混合抗体はサンディエゴのマップ・バイオファーマシューティカルズ社 (SD市ソレントバレー) が作製している。

この抗体はエボラウイルスを認知すると感染細胞を封じ込め、免疫機能を復活させて破壊に導くという。

 
米メディアによると、ナイジェリアの保健相が米国政府の高官に試験薬の提供を要請。

しかし、世界保健機関 (WHO) は臨床試験が行われていない (今年後半に予定) 未承認薬を使用することに慎重な構えを取っている。

WHOの会合では、医療倫理の専門家らが開発中の治療薬を投与することに倫理的な問題がないかどうかや、薬の量が限られている場合、どのような基準に基づいて投与すべきなのかについて検討するとみられる。

 
WHOは声明で 「我々は異常な事態に直面している。高い致死率の病気が存在するのに、 有効と立証された治療法やワクチンがない」と指摘、対応を急ぐ必要性を強調している。

そこで、開発段階にある治療薬の使用の是非を検討するため、近く専門家会合を開くとの声明を発表している。



(2014年8月16日号掲載)