シーワールド、シャチの捕獲と飼育中止へ
“動物虐待” 批判の中、入場者減少を懸念
2016年3月18日
シーワールドは3月17日、新たなシャチの捕獲と飼育を全面的に中止すると発表した。
3つのシーワールドのうち、来年からSD、2019年よりサンアントニオ、オーランドが順次中止する。
現在、3つのシーワールドには生態研究とショー興行のために23頭のシャチが飼育されている (SDでは今年でシャチのショーを廃止)。
現存するシャチが “最後の姿” となるが、年齢は1歳~51歳と幅広く、シャチの平均寿命が50歳前後なので、今後半世紀近くはシーワールドでシャチの姿が見られる。
シーワールドの決定の背景には、「ショー目的の隷属的なシャチの飼育」 を糾弾する動物保護団体、それに呼応した一般市民からの批判による入場者数減少、後援企業の撤退、株価下落などの厳しい経営環境がある。
シーワールドSDは昨年、シャチの生態研究施設の充実のために、約1億ドル (約112億円) の水槽拡張計画の承認申請を行ったが、CA州沿岸保全委員会 (CCC) が認可条件としてシャチ繁殖の禁止を通告。
これを受けてシーワールドは、CCCの措置には法的拘束力がなく、決定権を無効とする法廷闘争に持ち込んだ。
シーワールドは提訴を取り下げていないが、シャチ捕獲/飼育中止を決定したことから和解に進むとみられる。
(2016年4月1日号掲載)