CA州議会、時給引き上げ法案可決、2022年までに$15
SD市も最低賃金 アップの「提案」 (Prop. I) を住民投票に
2016年4月1日
CA州議会は3月31日、最低賃金を現在の時給$10ドル (約1,080円) から、2022年までに時給$15 (約1,620円) に引き上げる法案を可決した。
ブラウン知事が署名して成立する。
州レベルでは最高水準となる$15までの引き上げ方針を決めたのはCA州が全米初。
CA州では、2022年までに最低賃金を基本的に毎年$1ずつ段階的に引き上げていく。
同州に多い、最低賃金で働くヒスパニック (中南米系) の労働者には朗報となりそうだ。
NY州議会でも最低賃金を時給$9 (約975円) から$15に引き上げる議論が行われている。
LAやシアトルなどの市レベルでは既に最低時給を$15に引き上げる法案が可決している。
連邦の最低賃金は$7.25 (約785円)。
SDでは、CA州大統領予備選挙日の6月7日に、来年1月1日より最低賃金を時給$11.50 (約1,250円) に引き上げる提案 (Prop. I) の可否が住民投票に問われる。
地元の世論調査によると、最低賃金アップの市条例案への支持率は6割に達している。
6月7日の住民投票で過半数の賛成票を得た場合、SD市の最低時給は現行の$10.50 (約1,140円) から来年1月1日に$11.50 (約1,250円) へと引き上げられる。
その後、年ごとに、消費者物価指数に応じて2019年まで上昇ラインを描くことになる。
さらに、SD市案では雇用主に対し、従業員の有給病気休暇を年間5日許容するよう求めている。
CA州の最低賃金は来年1月に$10.50に改定され、2018年1月に$11 (約1,120円)、2019年1月に$12 (約1.305円) と漸次上昇していく。
通観すると、2019年1月までSD市の上昇ペースがCA州を上回る見通しだ。
CA州法では従業員25人未満の零細企業/小企業を対象に、時給引き上げの猶予を1年間与える措置が取られているが、SD市案には例外規定がない。
SD市の最低賃金引き上げ案はトッド・グロリア市議会議員が2014年に提唱。
その後、SD地区商工会議所、SD郡納税者協会などの市民団体により、地域経済への影響について調査報告が行われ、賛否両論の意見が激しく交わされてきた。
賛成派は、最低賃金アップは低所得者層の購買意欲を高めて地元経済を活性化させるというプラス面を指摘。
反対派は、市案が州案の最低賃金引き上げ幅を超えていることから、地元の中小企業に雇用を控えさせ、解雇促進につながるマイナス面を懸念。
加えて、ビジネスの地元離れに拍車をかける要因にもなると警告している。
失業者増と物価上昇も招くと予想され、貧困問題の解決の一助にもならないと主張する。
市案の最低賃金引き上げが実施されれば、SDは米国内で “高額都市” の一つとなる。
(2016年4月16日号掲載)