劣悪な環境下の難民申請家族
収容施設は過密状態、UCSD 調査
2019年9月1日
カリフォルニア大学サンディエゴ校 (UCSD) が8月下旬に発表した調査報告によると、米国内の不法移民収容施設は一様に劣悪な状態が改善されず、難民申請家族は非人道的な環境下で苦しんでいる。地元メディアが伝えた。
UCSDの報告書は、メキシコ国境にある米側の施設に昨年10月〜今年6月までに収容された7,300以上の家族を対象に実態を調査したもの (平均収容期間は3.5日)。
結論として、腐りかけたフード、不衛生な水、シャワー使用不可、収容人数の過密状態、安眠不能 —— などが全施設に共通する問題として指摘されている。
難民申請家族の約62%が、配給される食料・飲料水の質が悪いだけでなく、必要十分な量を与えられていない不満を表明している。
また、約45%が施設の収容過剰と室内の適温調整が配慮されておらず、慢性的な睡眠不足に苦しんでいる。
さらに、約34%がシャワーを使えない不便さ、不浄なトイレ、歯磨き粉/歯ブラシの不足について苦情を呈している。
加えて、約12%が施設職員に突き倒されたなどの身体的虐待、「お前の国に帰れ」 などの言葉による虐待 (暴言による精神的苦痛) を受けたとしている。所持している法的文書を没収され、返却されなかったケースも明らかになっている。
7月には国土安全保障省の監察官がテキサス州のメキシコ国境にある不法移民収容施設を視察した。マカリーナン国土安全保障長官代行へ提出した報告書の中で「人数を詰め込みすぎで劣悪な状態だ」と指摘し、早急に改善するよう求めている。
米メディアによると、別の施設を視察した民主党議員団も「監獄のようだ」と強調。
不法移民への不寛容政策を続けるトランプ政権は「人権を守っていない」 と非難。その後、全米各地で抗議デモが行われるなど、収容施設管理への反発が広がっている。
報告書によると、国土安全保障省の監察官が視察を行ったのは、越境者が最も多い地域の一つとされるテキサス州東部の収容施設。
成人男性の施設では、最大収容人数が41人の部屋に88人を押し込めるなど決められた基準に合っていないと指摘した。
「助けて」 と紙を掲げる人や、窓をたたいたり、叫んだりする人もおり、複数の職員は身の危険を訴え、収容者とは「一触即発だ」と話す職員もいたという。
一方、報道によると、民主党議員団は、テキサス州西部の収容施設を視察。
シャワー使用が2週間以上認められないと訴えた人や、トイレの水を飲まされたと主張した人がいたほか、分離拘束された親子も多かった。
同行したオカシオコルテス下院議員はナチス・ドイツのユダヤ人に対する強制収容所になぞらえ「恐ろしい事態が起きている」と訴えた。
(2019年9月16日号掲載)