全米で市中感染の懸念拡大

検査に条件、対応遅れ、実態不透明

最善の予防はインフル対策と同じ

2020年3月5日

全米に新型コロナウイルスの感染経路が不明な「市中感染」の懸念が広がっている。

トランプ大統領は2月下旬の記者会見で「米国民のリスクは低い」と強調したが、初の市中感染の可能性を示唆する事例がカリフォルニア州で確認された後、3月5日までに全米で10人の死者が出た。

新型コロナウイルスの感染検査を受けるのに厳しい条件があり、対応のもどかしさと相まって、米メディアは政府発表が実態を反映していない恐れも指摘している。


米国では疾病対策センター (CDC) がウイルス検査キットを開発し、2月上旬に配布を開始。

しかし、誤判定の恐れが発覚し試薬を作り直すなど、全米での展開が遅れている。

検査対象も症状に加え中国渡航歴があるなど条件が厳しく、韓国が1日1万件を超える検査をこなす中、アレックス・アザー厚生長官によると、CDCは約4,000件にとどまっている。


また、季節性インフルエンザが全米で大流行しており、2月中旬のCDC統計で患者26,000人以上、死者約14,000人に上っている。


CDCは2月14日、インフルエンザ患者の中に新型コロナウイルス肺炎患者が含まれている可能性もあるとして、NY、LA、シカゴ、サンフランシスコ、シアトルの5都市圏で検査を開始すると発表した。

米国における新型コロナウイルス肺炎の患者数はCDCのホームページ www.cdc.gov/coronavirus/ で見ることができる (毎週月曜〜金曜に統計をアップデート)。3月5日発表の統計によると陽性反応は99人 (疑陽性含む。中国からの隔離者を除く)、死者10人 。


サンディエゴ郡保健福祉課のサイト SanDiegoCounty.gov/coronavirus/ では、SD郡居住者、中国・武漢からの隔離者 (収容施設=ミラマー海兵隊航空基地)、SD郡外からの訪問者の3つのカテゴリーに分けて、検査終了者数、陽性反応数、陰性反応数、結果保留数の最新統計を公表している。3月5日発表の統計 (毎週月曜〜金曜にアップデート)によると陽性反応は2人 (2人とも中国からの隔離者) となっている。


新型コロナウイルス肺炎の治療法は確立されておらず、ワクチンも開発されていないので、感染している疑いを抱いても、医療機関ですぐに検査を受けることができない (まず、最寄りのクリニックや病院への問い合わせが必要)。

症状が軽い場合は自宅での療養が推奨されている。

基本的な予防としては、インフルエンザ対策と同様に、①手を洗う (十分に石けんをつけて20秒以上、手首、指の間、爪をしっかりと洗う。アルコール消毒液で手をふくのも有効)、②咳 (せき)、くしゃみをするときはマスク着用。マスクがないときはティッシュや衣服の袖で口を覆う (手のひらで覆うのは危険。ウイルスの付いた手でドアノブなどに接触すると感染を広げてしまう)。


新型コロナウイルスの感染致死率はそれほど高くない。

対症療法により8割が回復するとのデータも出ている、新型ウイルスの脅威を過度に恐れず、これらの基本的な予防を徹底して行い、冷静に対応していくことが最善の対策となる。


(2020年3月16日号掲載)