2022年8月15日
サンディエゴ郡内の各所で、モコモコした大型クモが道路を横切る姿を目撃する機会が多くなった。
クモの名はタランチュラ。
ヨーロッパの伝説やホラー映画に登場する「毒グモ」の代名詞にもなっている。
近くに生息していると聞けば震え上がるかもしれないが、人々が抱く恐ろしいイメージとはギャップがあるようだ。
地元メディアが伝えた。
タランチュラはオオツチグモ科に属するクモの一種で、そのサイズとグロテスクな色から誰をも気味悪がらせる。
しかし、大きさや不気味な外見とは裏腹に、毒性は弱く、非常におとなしく、人を噛むことはほとんどないという。
ある昆虫学者は「人間がクモに与える脅威がはるかに大きい」と笑いながら語る。
また、タランチュラは砂漠や草原の生態系で重要な役割を果たしている。
ヤスデ、ムカデ、コオロギ、小さなトカゲなどを食べ、害虫の個体数を抑制するのに役立っている。
タランチュラの毒は昆虫などの小さな生物を殺すには十分だが、人命を奪ったり、ひどく傷つけたりする力はないという。
とはいえ「噛まれた場合は、念のために受診することを勧める」と専門家は話す。
毎年、晩夏〜秋口にかけて、パウエー、エルカホン、ラモナなどの郊外や農村部を中心にタランチュラの目撃報告が寄せられる。
道を横切ったり、裏庭をさまよったり、屋内に隠れたり、プールに浮かんでいたりしているが、これらの行動はオスがメスを求めている姿だという。
オスは交尾の季節になると、かなりの距離を移動することが確認されている。
巣穴に閉じこもり、夜間にしか外に出ない従来のクモの行動とは異なり、日中でも “闊歩” する珍しい行動パターンだという。
タランチュラは身の危険を感じると、犬の唸り声やガラガラヘビの威嚇 (いかく) に似た音を発しながら動いて警戒心を顕 (あらわ) にし、体を起こして牙を剥 (む) き出しにする。
通常、タランチュラのオスの寿命は5~7年で、最後の1~2年で性的に成熟するという。
一方、メスは20~30年生きる。
交尾の後、オスを食べてしまうこともある。
(2022年9月1日号掲載)