SD都市圏の大気汚染度、全米ワースト6位
オゾンの安全基準値超過日数による評価
2019年5月15日
公益財団法人・結核予防協会 (American Lung Association=ALA) が4月末に発表した2015〜17年期の「大気汚染状況報告書」によると、サンディエゴ都市圏 (オーシャンサイド〜サンディエゴ〜チュラビスタにわたるサンディエゴ郡沿岸部) の汚染度は全米都市圏の中でワースト6位となり、“America’s Finest City” の名にふさわしくない評価を受けている。
米国では「光化学オゾン汚染」と「大気粒子状物質汚染」が2大公害とされる。
ALA報告書における各都市圏の大気汚染度ランキングは、スモッグ度を示す連邦基準のオゾン測定値の結果によるもの。
「8時間基準」でオゾン値が測定され、時間帯内の平均値が安全基準 (濃度 8 ppm) を超過した日数を記録して汚染度を決定する。
オゾンはガソリン等の化石燃料、ドライクリーニング溶剤、塗料などから発生する蒸気と車両が排出する窒素化合物が、夏と秋の強い日光により化学反応を起こして生成され、子どもや高齢者、肺病やがん患者に深刻な影響を及ぼす。
汚染度の高い空気を吸い込むと、咳、息切れ、喘息 (ぜんそく)、肺炎などを引き起こす。
2015~17年期の統計報告によると、SD都市圏が喘息や肺病患者に危険なオゾン値を記録した日 (オレンジ・デー) は年平均で45日。
だが、呼吸器系疾患を持つ人に加えて幼児や高齢者にも影響を及ぼす警告日 (レッド・デー)、一般人の健康を害するオゾン濃度を記録した非常事態の日 (パープル・デー) はなかった。
米国では「大気汚染防止法」 (The Clean Air Act) が制定された1963年以降、全米の大気汚染が改善されてきた。
しかし、ALA報告書は、米人口の約半数に相当する1億4100万人がオゾン量の高い、不健康な生活環境に置かれていると指摘する。
また、ALA報告書は、2017年に地球温暖化対策の枠組み「パリ協定」の離脱を表明したトランプ大統領を厳しく批判。
早急に連邦予算を計上してエアークオリティーの改善策に取り組むよう求めている。
大気汚染のワースト5都市圏 (いずれもカリフォルニア州) は以下の通り。
① ロサンゼルス、② バイセリア、③ ベーカーズフィールド、④ フレズノ〜マデラ〜ハンフォード、⑤ サクラメント、⑤ ローズビル (同じく5位)。
一方、ベスト3都市圏は ① アンカレジ (アラスカ州)、② バンゴー (メーン州)、③ ベリンガム (ワシントン州)。
(2019年6月1日号掲載)