2020年11月5日
米国の中央銀行に当たる連邦準備制度理事会 (FRB) は11月5日、金融政策を協議する連邦公開市場委員会 (FOMC) で、主要政策金利を年0.0~0.25%に据え置き、事実上のゼロ金利政策を維持することを決めた。
記者会見したジェローム・パウエル議長は、新型コロナウイルス感染症の再拡大などへの対応で「さらなる金融、財政支援が必要となるだろう」と強調。
景気回復にはばらつきがあり「改善ペースは緩やかだ」と先行きへの懸念も示した。
3日に行われた大統領選の投票日以降では初めての会合だった。
選挙結果も確定しておらず、政策変更はしなかった。
パウエル氏は「民主主義の制度に任せることだ」と述べ、大統領選への具体的な言及は控えた。
FRBは既に2023年末まで事実上のゼロ金利政策を続け、景気を下支えする考えを示している。
量的緩和も継続し、米国債の購入額は月800億ドル (約8兆3,000億円)、住宅ローン担保証券 (MBS) は月400億ドル (約4兆1,500億円) を当面の目安とする。
FOMC終了後に公表した声明では「経済活動と雇用は引き続き回復しているが、年初の水準を大きく下回っている」と指摘した。
今年7~9月期の米実質国内総生産 (GDP=季節調整済み) 速報値は年率換算で前期比33.1%増となったが、感染拡大前の水準には戻っていない。
大統領選が絡んだ与野党対立で追加経済対策の取りまとめは遠のいており、パウエル氏は既存対策の期限切れによる景気下振れリスクにも懸念を示した。
(2020年11月16日号掲載)