2021年4月24日
バイデン政権は総額1兆ドル (約108兆円) 規模となる富裕層の課税強化策を発表する予定だ。
教育や子育て支援を柱とする次の成長戦略の財源に充てる。
連邦政府が富裕層の株式売却益にかけるキャピタルゲイン課税の最高税率を現在の約2倍の39.6%へ引き上げることなどを盛り込む。
再分配を促す福祉施策と共に高所得者への増税を実施し、格差を是正する狙いがある。
所得税の最高税率も37%から39.6%に引き上げ、高所得者に有利な「トランプ減税」を転換させる。
増税案はバイデン氏が大統領選の公約で掲げていた。
ただ、増税に反対する野党共和党の理解を得ることは難しく、議会での合意形成は難航が必至。
与党内でも意見はさまざまで、実現までは曲折が予想される。
現在の株式売却益への連邦税率は最高20%。
これを年間所得が100万ドル超の富裕層を対象に引き上げる。
他の付加税を含めると最高43.4%になる。
地方政府も独自にキャピタルゲイン課税を行っており、実現すれば「世界的にも高水準」 (ロイター通信) になる。
日本では株式売却益に対して原則、所得税と個人住民税を合わせて一律20%が課税される。
キャピタルゲイン課税を巡っては、給与所得などへの課税よりも最高税率が低いことで、株式売却益の多い富裕層への富の偏在を助長しているとの批判がある。
(2021年5月16日号掲載)