民主党、退任表明相次ぐ 中間選挙で下院多数派暗雲

2021年12月26日

バイデン政権を支える民主党が僅差で多数を握る下院 (435議席) で、同党議員の退任表明が相次いでいる。

10年に一度の選挙区割り変更で不利になることなどが理由で、これまでに20人以上を数えた。

政権が逆風を受ける傾向がある上下両院選を含む中間選挙を来年11月に控え、選挙実績がある現職の退任により多数派維持に暗雲が漂う。


2020年11月3日の連邦議会選挙の結果、下院は民主党が222議席、共和党が211議席を占め、民主党が改選前より10議席を減らしながらも多数派を維持。

2020年大統領選挙後の米国連邦議会 (第117議会) が2021年1月3日に招集された時点では上下両院で民主党が多数派となっていた。

上院 (100議席) は両党ともに50議席で同数となったが、法案採決が可否同数の際には議長役の副大統領が決定投票権を持つため、民主党が上院でも実質的に過半数を握った。


フロリダ州第7選挙区選出で民主党若手のホープと目されていたステファニーマーフィー下院議員 (43) は12月20日、不出馬を表明した。

「地元に仕えるのは栄誉だったが、家族や私には試練でもあった」と胸の内を語る。

本人は関係を否定しているが、選挙区割り変更で4選は厳しい状況に追い込まれるとの見方が広がっていた。


12月26日現在、下院の与野党の議席差は8議席のみ。

中間選挙で下院は全議席改選となり、これまで民主党で退任を決めたのはマーフィー氏を含め計23人で、野党共和党の12人に比べ圧倒的に多い。


選挙区割り変更は10年ごとの国勢調査に基づき、多くの州では州議会を通じて実施され、多数派の党が有利になるよう恣意的に境界線を引く「ゲリマンダリング」が進む。

全米州議会議員連盟 (NCSL) によると全米の約6割の州で共和党が多数派だ。


厳しい情勢の選挙区に、実績や知名度に乏しい新人を立てれば苦戦は必至。

バイデン氏自身の支持率低下も追い打ちとなり、少数派転落を悲観する民主党議員による不出馬の「雪崩 (なだれ) 現象」 (CNN-TV) が起きるとの見方も出ている。


*ゲリマンダリング (ゲリマンダー):政権担当党や多数派政党が不自然な境界線や飛び地を統合し、自党が最も有利になるように単一の選挙区を確定すること。1812年にマサチューセッツ州知事エルブリッジ・ゲリーが設定した選挙区割りがサラマンダー (salamander=火中に棲む伝説のトカゲ) の形に似ていたことから、ゲリーとサラマンダーを組み合わせた造語となった。



(2022年1月16日号掲載)