2021年7月20日
トランプ前大統領が軍を使って「クーデター」を起こすかもしれない――。
CNNテレビは7月15日までにトランプ前政権末期の内幕を描いた本の内容を報道。
米軍制服組トップのマーク・A・ミリー統合参謀本部議長が昨年11月の大統領選後、トランプ氏が軍を動員して選挙結果を覆そうとする恐れがあると懸念していたと伝えた。
違法な命令が出た場合は、他の軍高官とともに辞任する決意を秘めていたという。
本はワシントン・ポスト紙の記者2人が140人以上の関係者の話を基に執筆し、7月20日に出版。
CNNによると、ミリー氏は軍の関係者や友人、議員らに対し、トランプ氏によるクーデターを「警戒する必要がある」と話していた。
「試みたとしても成功しない。軍の協力なしには実行できない。武器を持っているのはわれわれだ」とも語っていたという。
また、他の統合参謀本部メンバーの軍高官らとともに、トランプ氏の違法な命令には従わず、1人ずつ辞任する計画を立てていた。
トランプ氏は7月15日、声明を発表し「クーデターを起こすと話したことなどない。起こすとしても、ミリー氏とはやらない」と反発した。
報じられた本の内容によると、ミリー氏はトランプ氏を「典型的な専制主義者」だと認識していた。
根拠なく大統領選での不正を主張し続けるトランプ氏の言動はナチス・ドイツのヒトラーの言説と類似しているとみていたという。
また、トランプ氏支持者らによる1月の連邦議会襲撃後、ペロシ下院議長はトランプ氏が「狂って」核兵器の発射ボタンを押しかねないとミリー氏に懸念を表明。
同氏は発射には手続きがあるので心配ないと説明し「合法な命令にしか従わない」と語ったとしている。
*写真は、バイデン大統領とハリス副大統領と歩くマーク・A・ミリー陸軍統合参謀本部議長 (中央=ワシントンDC)
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(2021年8月1号掲載)