警戒強める米アジア系市民 8人殺害のアトランタ銃撃事件で

2021年3月19日

ジョージア州アトランタと近郊で3月16日、アジア系女性ら8人が殺害された連続銃撃事件を受け、全米のアジア系社会で警戒が強まっている。

中国起源とされる新型コロナウイルスの感染拡大を機に米国ではアジア系市民への憎悪犯罪 (ヘイトクライム) が増えている。
 

アトランタの捜査当局は17日、マッサージ店3店でアジア系女性6人を含む8人を殺害した疑いでロバート・ロング容疑者 (21) を訴追。

ロング容疑者は人種差別に基づく動機を否定し「性依存症のはけ口を断ち切りたかった」と供述したとされるが、警察当局は18日、憎悪犯罪の可能性も排除しないと強調した。
 

ニューヨークやシカゴ、ロサンゼルスなどアジア系市民を多数抱える都市では、警察が事件直後から警戒人員を増強。

各地でアジア系市民が突き飛ばされたり殴られたりしたとの被害報告が続いており、ニューヨーク市のデブラシオ市長は18日の記者会見で「憎悪犯罪の増加は克服しなければならない現実だ」と警告した。
 

第2次大戦中に日系米国人として強制収容された俳優ジョージ・タケイ氏は17日、ツイッターに「今できる最善の行動は、アジア系への暴力に反対の声を上げることだ」と投稿。

韓国系のストリックランド下院議員は17日、議会で「人種が動機の暴力を経済的不安や性依存症と装って言い訳することは許されない」と事件を糾弾した。
 

カリフォルニア州立大サンバーナディーノ校によると、全米の主要16都市で昨年起きたアジア系市民への憎悪犯罪は前年比2.5倍の122件

背景として「新型コロナに関連付けたアジア系に対する否定的な固定観念」があると指摘した。

ホワイトハウスは3月18日、バイデン大統領とハリス副大統領が19日にアトランタを訪れ、アジア系住民らと意見交換すると発表した。

ジョージア州で予定していた新型コロナウイルス関連行事を延期し、人種間融和に配慮する姿勢を示すという。

バイデン氏は18日、犠牲者への弔意を示すため、ホワイトハウスや他の政府機関、米国の在外公館や軍施設に、22日の日没まで半旗とするよう指示した。

また、サキ大統領報道官は18日、バイデン、ハリス両氏はジョージア州でアジア系市民の代表者や州議会議員らと対応策を協議すると説明した。

スポーツ界でもアジア系住民に対する憎悪犯罪を非難する声が相次いだ。

プロバスケットボールNBAの看板選手、レーカーズのレブロン・ジェームズさんは容疑者を指して「なんて臆病な若者なんだ。無分別な悲劇だ」とツイートした。


(2021年4月1日号掲載)