個人情報の削除めぐり対立、グーグルとEU
国や地域で異なるプライバシーの考え方
2015年3月13日グーグルと欧州連合 (EU) が検索サイトの個人情報の削除をめぐり対立している。
無益な情報を削除できる「EUルール」を欧州以外に適用する動きに対し、グーグルは強い抵抗を示した。
EU司法裁判所は昨年5月、自宅が競売にかけられた情報をグーグルの検索結果から削除するよう求めたスペイン人の男性の訴えを認めた。
公益に値しない個人情報を削除してプライバシーを保護する「忘れられる権利」を支持した形だ。
グーグルは「知る権利」や「表現の自由」を理由に抵抗してきたが、最終的に、欧州限定で削除要請を受け付ける専用画面を設置。
公共の利益などの観点から約83万件のサイトを調査し、4割を検索結果から消した。
ただ、削除対象は欧州各国のサイトに限定された。
EU以外のサイトで検索し、削除されたはずの情報を見つける抜け道があることから、プライバシー保護に関するEUの作業部会は昨年11月、EUルールを世界規模に拡大するよう要求し、グーグルに揺さぶりをかけた。
グーグル同様、影響力があるマイクロソフトは2013年、インターネット閲覧ソフトを利用者が選択できるようにしなかったとしてEUに多額の制裁金を課せられただけに、グーグルは難しい判断を迫られている。
(2015年4月1日号掲載)