製薬大手合併に広がる批判、税金逃れ?
米ファイザーとアイルランドのアラガン
2015年11月25日
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米製薬大手ファイザーとアイルランドの同業アラガンが発表した合併に、米国内で「税金逃れ」との批判が広がっている。
合併後の新会社は米国より法人税率が低いアイルランドに本社を置くためだ。
オバマ政権は節税を狙った企業買収を規制しようと必死で、合併まで曲折も予想される。
経済協力開発機構 (OECD) の調べでは、米国の連邦法人税率は主要国で最も高い35%。
アイルランドは米国の半分以下の12.5%。
今回の合併はファイザーによるアラガンの事実上の買収で、新会社の運営拠点はファイザーの本社があるNYに置く。
米メディアによると、形式上の本社をアイルランドにすることで年20億ドル (約2400億円) の節税が見込めるという。
米財務省は11月中旬、企業の節税対策に歯止めをかけるため、買収先企業とは無関係の第三国に本社を移せないようにするなどの規制強化策を公表した。
その直後の合併発表だったことも、多くの批判を招く一因となった。
オバマ大統領は2012年に法人税率を28%へ引き下げる改革案を発表したが、一向に実現しないことも米企業が相次いで節税対策を進める背景にある。
節税を狙った企業の海外移転防止と法人税改革は来年の大統領選の争点になりそうだ。
(2015年12月16日号掲載)