がんの転移、血液検査で予測可能に
星野歩子博士らコーネル大チーム
2015年12月1日がん細胞が転移する臓器を決めている仕組みをマウスの実験で明らかにしたと、コーネル大の星野歩子 (あゆこ) 博士らのがん生物学チームが英科学誌ネイチャーに発表した。
血液検査で転移先が予測できるという。
がん細胞は増殖だけでなく、血液やリンパ液を通じて他の臓器に移動することで病巣を広げる。
死亡原因のほとんどは転移によるもので、研究の成果は生存率の向上につながりそうだ。
転移ではまず、がん細胞から放出される「エクソソーム」という袋状の粒が血液やリンパ液の流れに乗って別の臓器に移動し付着する。
それを足場としてがん細胞が集まることが分かった。
エクソソームの表面には特定の臓器にだけ取り付く突起が出ており、どの臓器に転移するかはこの突起の種類で決まる。
例えば、肺に転移しやすい乳がん細胞は肺に取り付きやすい突起を持つエクソソームを放出する。
人の乳がん細胞からエクソソームを取り出してマウスに注射すると、高い割合で肺に集まった。
さらに、通常は骨に転移するがん細胞を注射すると多くが肺に転移した。
エクソソームの突起と付着する性質のあるタンパク質をマウスにあらかじめ投与したところ、エクソソームやがん細胞の臓器定着を大幅に減らすことができたという。
(2015年12月16日号掲載)