マグロ回復も依然低水準

マグロ回復も依然低水準

漁獲枠拡大、日本に逆風

2019年9月5日

オレゴン州ポートランドで開かれている中西部太平洋まぐろ類委員会 (WCPFC) の北小委員会は9月4日、引き続き太平洋クロマグロの資源管理をめぐり協議した。

日本が求める漁獲枠拡大には資源量が着実に回復していると全会一致で合意する必要があるが、依然として資源は極めて低い水準にあるのが実情で、日本にとって逆風となっている。

日米などの科学者や政府関係者で構成される国際機関「北太平洋まぐろ類国際科学小委員会 (ISC)」が昨年公表した資源評価によると、産卵能力のある太平洋クロマグロの親魚の量は2010年にピーク時の1割以下の12,000トンまで激減。

その後は漁獲規制の成果もあって緩やかに回復しているが、2016年の資源量は21,000トンと低水準を脱していない事実が問題視されている。

WCPFCは2024年までに約43,000トンに回復させる目標を掲げる。

昨年の会合ではこうしたデータを基に議論したが、漁獲枠拡大を求める日本の訴えは米国などから「時期尚早」と退けられた。

ISCの資源評価は昨年から更新されておらず、今回の会合でも同じデータが討議の主要材料となることから、日本が昨年の結果を覆すのは容易ではない。

日本は、周辺の海域で2017~18年に若い魚が順調に増えたとの調査結果を提示。これらが親魚に成長すれば資源量の増加にもつながるとして、一定の漁獲枠の拡大なら可能と主張する。

しかし、資源管理に詳しい学習院大の阪口功教授 (地球環境政策) は、現行の漁獲枠でも「科学的には乱獲と言うべき水準。このレベルの資源量では禁漁とする国もあり、増枠は早すぎる」と話す。

世界自然保護基金 (WWF) ジャパンの担当者も「資源が回復しつつある今こそ我慢しなければ、将来またつけを払うことになる」と警鐘を鳴らしている。

資源の枯渇が懸念されている太平洋クロマグロの漁獲管理をめぐっては、違法操業などによる不正な水揚げや流通を防ぐための国際的な漁獲証明制度の導入も課題となっている。

WCPFCの関連会合でも関係国・地域で検討を進めており、早ければ2021年の導入を目指している。



(2019年9月16日号掲載)