トランプ氏「移民を撃て」
国境封鎖要求と内幕本
2019年10月3日
Border Wars: Inside Trump's Assault on Immigration / Simon & Schuster. |
不法移民の脚を撃て。明日正午までにメキシコ国境を封鎖しろ —— 。
トランプ大統領は今年3 月、ホワイトハウスの大統領執務室で開いた移民対策会議でこう指示し、政権幹 部らを仰天させた。
ニューヨーク・タイムズ紙が10月1日、 不法移民対策をめぐる政権の内幕本『国境戦争』 ( “Border Wars: Inside Trump's Assault on Immigration” / Simon & Schuster 刊 / 10月8日出版) の抜粋を報じた。
トランプ氏は国境に堀をつくって水をため、ワニやヘビを 潜ませるといった案も口にしていたという。
政権幹部らは、 国境封鎖を実行すれば両側で混乱が生じ、米墨両国の経済 を崩壊させかねないと懸念。
トランプ氏は最終的に主張を取り下げたが、国境管理を担うニールセン国土安全保障長 官の解任などににつながった。
また、トランプ氏はサンディエゴ近くのメキシコ国境を視察した際、国境管理要員らを集め、不法移民を一人たりとも 米国に入れるなと、檄 (げき) を飛ばした。
ところが、トラ ンプ氏が去った後に政権高官が、国境管理要員には移民の米国入りを止める法的権限はないと説明し、トランプ氏の発言を無視するよう伝えた。
(2019年10月16日号掲載)