Saturday, 21 December 2024

政府閉鎖から弾劾訴追

 

政府閉鎖から弾劾訴追

トランプ氏の2019 年

2020年1月1日

© Christopher Sciacca / shutterstock.com
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トランプ大統領にとって就任3年目となった2019年は史上最長の35日間にわたる政府閉鎖に始まり、米大統領として史上3人目となった弾劾訴追で幕を閉じた。

今年11月には再選を目指す大統領選が控え、内政・外交政策だけでなく全ての振る舞いが選挙を中心に動くことになりそうだ。

トランプ氏が今年最も苦労したのは野党民主党が2018年11月の中間選挙で多数を握った下院の対策だ。

看板政策のメキシコ国境の壁建設費を認めない民主党との予算対立に伴う政府閉鎖、不名誉な弾劾訴追など思うような動きを取れなくなった。

大統領選に向けては昨年6月に早くも出馬を正式表明し、現職大統領としては異例となる月2回以上の頻度で激戦州を中心に支持者集会を開催。

壁建設や厳格な不法移民対策などを岩盤支持層に語り掛けてきた。

再選を左右する最大の要素は経済。

「トランプ氏を好きでなくても、経済が良ければ許容する穏健派有権者は少なくない」 (米研究者) ことを踏まえ「史上最高の好景気」 を繰り返し強調する。

景気後退局面の到来がささやかれるだけに、米中貿易協議で12月には「第1段階」の合意にこぎ着け、アピールに躍起になっている。

トランプ陣営が2016年の前回大統領選でロシアと共謀した疑惑は、昨年4月公表の捜査報告書で立証されなかった。

一方で疑惑捜査を妨害した疑いは、捜査を指揮したモラー元特別検察官が「潔白とは言えない」と結論付けたことで、くすぶり続けている。

トランプ氏がウクライナに、来年の大統領選の対立候補になる可能性があるバイデン前副大統領周辺の捜査を求めた新たな疑惑は不名誉な弾劾訴追に発展した。

与党共和党が多数を握る上院で予定される弾劾裁判では無罪が見込まれているが、トランプ氏の新たな「不正」 が明るみに出れば急転直下、状況が変わる可能性もある。

昨年、外交では2月にベトナムで2回目となる北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長との会談に臨み、6月にも板門店で電撃会談、現職米大統領として初めて北朝鮮に越境した。

日本には2回訪問し、令和初の国賓として天皇陛下と会見した。


(2020年1月16日号掲載)