Friday, 29 March 2024

テスラ、GM +フォード抜く

 

テスラ、GM +フォード抜く

時価総額、業界新旧交代
摩擦下で対中投資拡大

2020年1月19日

© Grzegorz Czapski / shutterstock.com
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電気自動車 (EV) 大手テスラが貿易摩擦を物ともせず対中投資拡大を表明し、株価が急騰している。

業績や成長性を映す時価総額は今年に入り、米大手3社 (ビッグスリー) の一角であるゼネラル・モーターズ (GM) とフォード・モーターの合計を抜き、新旧交代を印象づけた。

ただ、量販車「モデル3」など3車種をめぐっては、米運輸当局が1月17日、意図せず急加速したとの苦情を受け、調査が必要かどうか検討していると明らかにした。

約50万台が対象となる可能性があり、市場はしばらく目を離せそうにない。

イーロン・マスク最高経営責任者 (CEO) は1月7日、上海で「中国にデザイン拠点を開設し、世界へ販売する」と表明した。

昨年の世界販売台数は「モデル3」が牽 (けん) 引し367,500台と前年と比べ50%増えた。

株価は最近3か月で2倍になり、17日終値に発行済み株式数を掛けた時価総額は920億ドル (約10兆円) となった。

一方、GMとフォードの時価総額はそれぞれ508億ドル、356億ドル。ともに販売台数は主力の米市場だけで200万台を超えるが、頭打ちだ。

GMは金融危機後の2009年に破綻 (たん)。

米政府から巨額支援を受け再建した。

フォードも一時、業績不振が深刻化した。

貿易摩擦や燃費規制の問題を背景にGMなどが加盟する団体と、外資系メーカーを中心につくる団体は今年になって統合を発表。

9割以上が参加し、業界が結束する動きが強まるが、テスラは含まれていない。

宇宙ベンチャー「スペースX」も率いるマスク氏は独自路線を貫いている。

マスク氏は「シリコンバレーの異端児」とも呼ばれ、ツイッターへの投稿内容が米証券当局から問題視されるなど物議を醸すことも多い。


(2020年2月1日号掲載)