Tuesday, 16 April 2024

アビガンに米政権関心

安倍首相が薦める?

2020年4月2日

© myriam B / shutterstock.com
新型コロナウイルス感染症の治療に有望だとして、日本で開発されたインフルエンザ薬 「アビガン」 を米国の感染者に投与できるよう、米政権幹部らが食品医薬品局 (FDA) に迫っていると、政治サイト「ポリティコ」が3月31日に報じた。

当局者の話として、安倍晋三首相がトランプ大統領にアビガンを薦めたとしている。

11月の大統領選をにらみ、新型コロナによる経済や社会の混乱の早期収束を目指すトランプ氏は、別の病気の既存薬を転用することに強い意欲を示す。

しかし、医療専門家は臨床試験での安全性や有効性の確認が必要だと釘 (くぎ) を刺している。

アビガンは日本の富士フイルムホールディングス (HD) 傘下の製薬会社「富士フイルム富山化学」 (本社:東京都中央区) が開発。

同社は3月31日、アビガンについて、新型コロナウイルス治療のための臨床試験 (治験) を同日から開始したと発表した。

効果と安全性を確認した上で早期の承認取得を目指す。

治験は東京都内の病院でコロナ感染症の患者約100人を対象に6月末まで実施する。

アビガンはインフルエンザウイルスの増殖を防ぐ効果があり、コロナウイルスに対しても同様の効果が期待されている。

アビガンは海外からも多くの引き合いが寄せられているため、生産体制を強化。既に生産しているが、さらなる増産に向けて原料の仕入れ先に協力を要請しているほか、一部の生産工程を他社に委託することも検討している。

アビガンは中国の研究で肺炎患者の症状が改善したとの報告があり、日本でも臨床試験が進んでいる。

報道によると、ホワイトハウス国家安全保障会議 (NSC) が、新型コロナ患者に未承認のアビガンを医師の判断で投与できるようFDAに緊急使用の認可を働きかけたり、企業から薬の寄付を受けるよう担当部局に圧力をかけたりしている。

トランプ氏はクロロキンなど2種類のマラリア薬についても治療に有望だとして猛プッシュし、FDAは緊急使用を認めた。

これらの薬は企業から大量に寄付されており、政権は全米に配布する方針だ。

*写真はイメージ

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(2020年4月16日号掲載)