2023年5月10日
世界保健機関 (WHO) のテドロス・アダノム事務局長は5月5日、新型コロナウイルス感染症をめぐる緊急事態宣言を終了すると発表した。
同宣言は感染症などに対するWHOの最高度の警告で、2020年1月30日に出されてから約3年3か月続いた。
ワクチン供給の偏りなど、保健政策上の様々な課題も浮き彫りとなった世界的な新型コロナ対策は、節目を迎えた。
緊急事態宣言の終了は、ワクチンの普及などにより重症化率が下がり、各国が各種規制をほぼ撤廃して日常生活が戻りつつある現状を踏まえた措置。
だが、ウイルスが根絶されたわけではなく、依然として流行は続いており、感染力の強い変異株も出現するなど、今後の展望は依然として不透明のままだ。
日本では、新型コロナウイルスの感染症法上の分類が季節性インフルエンザと同じ5類に移行した5月8日、コロナとの共生に向けた日常が本格的に始まった。
感染対策が個人判断となり、消毒液などの撤去作業が進んでいるが、通勤客には依然マスク姿の人も多い。
賑わいを取り戻した観光地にもコロナ禍の爪痕 (つめあと) は残る。
疲弊した人々の暮らしや経済は元の活力を取り戻せるだろうか。
成田空港では5月8日午前、出発ロビーのカウンターにあった約1メートル四方の飛沫防止のフィルムを、成田国際空港会社 (NAA) の職員が撤去した。
消毒液なども準備が整い次第、撤去するという。
(2023年6月1日号掲載)