2021年6月20日
カリフォルニア州当局は6月18日、新型コロナウイルスワクチンの接種記録を電子化し、スマートフォンなどに表示できるサービスの提供を始めた。
ワクチンを接種した人には紙の記録カードが渡されているが、紛失したり、携帯を忘れた際のバックアップとして利用するよう呼びかけている。
紙のカードと同じく、氏名や生年月日、接種日、ワクチンの種類が記載されるほか、QRコードも付く。
米メディアによると、州当局者はプライバシーなどをめぐって導入への反対論がある「ワクチンパスポート」に相当するものではないと説明。
カリフォルニア州は感染状況の改善を受け、経済活動の規制を全面的に撤廃。
ただ、5,000人以上が集まる屋内イベントでは入場者に陰性証明かワクチン接種記録の提示が求められており、電子データが活用される場面がありそうだ。
また、米国内外の航空会社では、出入国時に新型コロナウイルスの検査結果などを電子化し、スマートフォンのアプリで確認できるデジタル証明書を導入する動きが広がっている。
紙の証明書よりも確認がスムーズにできることから、一部で試験的に開始。
空港関係者は「旅客と接触しないので感染リスクが減り、渡航手続きの迅速化にもつながる」と期待する。
成田空港にある日本航空の国際線チェックインカウンターでは4月、スイスの非営利組織「コモンズ・プロジェクト」が世界経済フォーラム (WEF) と連携して開発を進めるデジタル証明書アプリ「コモンパス」による実証実験が行われた。
利用者はアプリを事前にダウンロード。
検査機関が送った検査結果の専用データベースにアプリがアクセスして渡航先へ入国できるかどうかをスマホ画面に表示する仕組み。
このアプリは今後、新型コロナワクチン接種歴を証明する「ワクチンパスポート」の機能を備えることも検討している。
同様のアプリは他にもあり、日航は米国企業が開発した「VeriFLY」、全日空は国際航空運送協会 (IATA) の「IATAトラベルパス」の実証実験も行った。
検査方法や有効期限は国ごとに異なり、どう対応させていくかが課題。
また、各アプリはそれぞれ機能が異なり、乱立すると利用者の混乱を招く恐れもある。
コモンズ・プロジェクトの広報担当者は「アプリに連動できる検査機関が増えればさらに実用的になるだろう」としている。
*写真はイメージ
(2021年7月1号掲載)