2023年11月11日
中国は肥満と前段階の過体重の総人口が6億人と米国を抜き、世界最多を独走中 (中国メディア推計)。
生活習慣病の深刻化で医療体制を圧迫し、糖尿病治療薬を「痩せ薬」として使用する事例も多発。
過剰なダイエットが命に危険を及ぼすケースもあり肥満が社会問題化している。
糖尿病薬は日本や米国でもダイエット目的で入手希望者が殺到。
供給不足で患者に処方できない事態が生じ、急激な体重のリバウンドが起きやすいことなどが理解
されていない問題点も指摘される。
「痩せ薬」と扱われているのは「GLP1受容体作動薬」。
中国メディアによると、糖尿病患者を装いインターネット上の薬局で薬を購入したり、転売品を買い取ったりするケースが多発。
日本では供給不足が深刻で、日本医師会の宮川政昭 (みやかわ・まさあき) 常任理事が10月の定例会見で、健康な人がダイエットで使うのではなく「糖尿病患者に使える体制を守りたい」と訴えた。
米国成人の肥満率は42%で、糖尿病の有病率も世界平均より高い。
国際糖尿病連合 (IDF) によると、米国内の推定患者は約3,200万人で、テレビで糖尿病治療薬の宣伝が頻繁に流れる。
近年、痩せ薬としての使用が拡大し、本来は治療対象とならないハリウッド俳優たちの間でも流行。
費用は月20万円程度と高額だが、食品医薬品局 (FDA) によると供給が追いつかない状態という。
ワシントン大のマイケル・シュワルツ教授 (内分泌学) は、服用をやめた途端にリバウンドが起きる点を懸念。
「(肥満解消の) 決定打でも最終解決でもない」と安易な使用に釘 (くぎ) を刺した。
*写真はイメージ
(2023年12月1日号掲載)