2024年7月2日
連邦最高裁は7月1日、2021年の議会襲撃事件で起訴された共和党のトランプ前大統領に対し、在任中の公務は刑事責任の免責特権が適用されると判断した。
「私的行為は免責されない」とし、免責範囲を審理するよう連邦地裁に差し戻した。
初公判は11月の大統領選後にずれ込む見通し。
返り咲きを目指すトランプ氏にとって追い風となった。
トランプ氏は、2020年の前回大統領選の敗北結果を覆そうと支持者らが2021年1月に議会を襲撃した事件を誘発したとして
起訴された。
大統領在任中の行動は刑事責任を免れると主張しており、最高裁判断を「憲法と民主主義にとって大きな勝利だ」と歓迎した。
民主主義の根幹を揺るがした事件は、トランプ氏が起訴されている計4つの事件で最も重大だとみられる。
判断は、判事9人のうち保守派6人による多数派意見。
保守派のジョン・ロバーツ長官は大統領の公務に対する広範な免責は「行政府の独立」を守るために必要と指摘した。
リベラル派のソニア・ソトマイヨール判事は「大統領が法の上に立つ王様になってしまった」と反対意見で懸念を示した。
最高裁判断は、機密文書持ち出しなどトランプ氏が起訴されている他の事件の公判にも影響を与える可能性がある。
トランプ氏は大統領に返り咲いた場合、自ら指名する司法長官に起訴を取り下げさせる見方が出ている。
トランプ氏は、免責を認めないとしたワシントンの連邦高裁の今年2月の判断を不服として上訴していた。
初公判は3月4日に予定されていたが、連邦地裁が延期した。
(2024年7月16日号掲載)