9/29/2023
ニューズ・コーポレーション (News Corporation) と フォックス・コーポレーション (Fox Corporation) は9月中旬、巨大なメディア企業グループを築いて「メディア王」と呼ばれるルパート・マードック氏 (92) が両社の会長職を退任すると発表した。
11月の年次株主総会で両社の名誉会長に就任する。
長男のラクラン・マードック氏 (52) が経営を引き継いでニューズ、フォックスそれぞれの単独の会長となる。
ルパート氏はオーストラリア出身。
父親から継承した小さな新聞社の経営を手始めに、企業の買収を繰り返して規模を広げた。
ニューズ傘下には英紙タイムズや米紙ウォールストリート・ジャーナル、オーストラリアの主要紙などがある。
新聞の発行部数を増やすためにスキャンダルを大きく報じたり、テレビの視聴者拡大を狙って極端に愛国主義的な論調を出したりしてきた。
フォックスが手がける保守系テレビのFOXニュースには、有識者から「米国民の分断を加速させた」との批判も出ている。
ロイター通信によると、ルパート氏は社員に宛てた書簡で「私たちの会社は健全な状態にあり、私も同様だ。
事業の好機は課題をはるかに上回っている」と主張した。
FOXニュースは2020年の大統領選で投票集計機に不正があったとの虚偽報道で集計機メーカーから名誉毀損 (きそん) で提訴され、巨額の和解金の支払いに追い込まれた。
人気キャスターだったタッカー・カールソン氏 (54 = 現・コメンテーター/コラムニスト) の番組降板による視聴者離れも起きており、ラクラン氏は難しい舵 (かじ) 取りを迫られそうだ。
*Picture: © Primakov / shutterstock.com