2020年12月4日
ニューヨーク・タイムズ紙などは12月2日までに、トランプ大統領が退任前に、長女のイバンカ大統領補佐官ら家族への予防的な恩赦を検討していると報じた。
バイデン次期政権下で「報復」として訴追されるのを懸念し免責するのが狙い。
トランプ氏は自身も免責できると主張するが、前提として犯罪を行ったと認めることにもなりかねないジレンマを抱える。
マクナニー大統領報道官は2日の記者会見で恩赦検討について「私は聞いていない」と述べるにとどめた。
大統領経験者への予防的な恩赦としては、1970年代にウォーターゲート事件で大統領辞任に追い込まれたニクソン氏に、後任のフォード大統領が実施した例がある。
大統領が自身に恩赦を出せるかどうかは法学者の間でも議論が分かれている。
トランプ氏はロシア疑惑で偽証罪に問われたフリン元大統領補佐官を11月下旬に恩赦するなど、自らの疑惑に絡む関係者に適用し批判を浴びている。
また、トランプ氏と不倫したと主張するポルノ女優らへの口止め料支払いをめぐり、ニューヨーク州検察が捜査中の事件など、連邦法以外のものは大統領恩赦の対象外で、効果には限界もある。
同紙によると、トランプ氏が恩赦を検討している家族はほかに長男ジュニア氏、次男エリック氏、イバンカ氏の夫クシュナー大統領上級顧問。
トランプ氏の弁護士ジュリアーニ氏も、自身の恩赦をめぐりトランプ氏と協議した。
ジュニア氏はロシア疑惑に絡み、特別検察官による捜査対象となった経緯がある。
ジュリアーニ氏も、バイデン次期大統領の息子とウクライナをめぐる疑惑を調査する中で、同国当局との不適切な関係を疑われ、連邦検察の捜査対象となっている。
(2020年12月16日号掲載)