2023年6月21日
メジャーリーグ、エンゼルスの大谷翔平選手 (28) が日本選手初の本塁打王へピッチを上げてきた。
24本塁打、58打点はメジャー全体でトップ (6月21日終了時)。
46本塁打を放ちながら2本差でタイトルを逃した2021年を上回る年間52発超えのペースで、偉業への期待が膨らむ。
▽転機は5月
今の大谷選手が打席に立つと、敵地のファンも固唾 (かたず) を吞 (の) んで見守る。
快音を響かせ、6月に入って130メートルを超す特大のホームランを連発する大谷は「構えの段階で (球の) 見え方が良い」と、状態の良さを認める。
5月23日、試合前に珍しく屋外でフリー打撃を行った。
それまで高めにしていた体の重心を昨季と同じ位置に下げ、より下半身に力が入るフォームに変更。
グリップの位置も微調整すると、打球が25~30度の本塁打が出やすい角度に上がり出した。
「(4月は) 構えが良くないまま、その後の動作に移行していた。感覚は5月30日に変わって良くなった」。
5月31日のホワイトソックス戦で今季初の1試合2本塁打をマークして上昇気流に乗ると、6月は17試合で9本塁打と量産態勢に入った。
▽戻った飛距離
メジャーでは昨年から飛びにくいボールに変わったとされる。
リーグ全体の本塁打数は2021年の5,944本から、2022年は5,215本に激減。
大谷選手選手もその影響を受けて減少し、本塁打の平均飛距離は2021年の126.8メートルから124.2メートルに低下した。
だが、今季は豪快さを取り戻し、24本塁打の平均は128.1メートルと文句なしの一発が多い。
打球方向も左右に打ち分け、打率も3割と確実性と長打を両立させている。
ライバルたちの勢いがないのも、大谷選手には追い風だ。
昨年アメリカン・リーグ新記録の62本塁打を放ったアーロン・ジャッジ外野手 (ヤンキース) は6月21日現在、19本塁打を放った後に右足を痛めて回復の見通しは立っていない。
17本塁打のヨルダン・アルバレス内野手/外野手 (アストロズ) も負傷し、復帰は7月になりそうだ。
二刀流・大谷の活躍に伴い、エンゼルスの成績も上昇。
6月21日現在、41勝35敗でア・リーグ西地区3位につけ、9年ぶりのプレーオフ進出を狙える位置にいる。
エンゼルスのフィル・ネビン監督は「スーパースターが活躍すると、チーム全体に自信を与えてくれる」と、その存在の大きさを強調した。
(2023年7月1日号掲載)