Thursday, 21 November 2024

日本への入国増、手作業頼りで混雑 欧米などは簡略化、改善急務に


2022年4月20日

日本政府が4月10日から新型コロナウイルス対策の水際措置を緩和し、1日当たりの入国者数の上限を7,000人から10,000人に引き上げたことで、空港検疫業務の逼迫 (ひっぱく) 懸念が強まっている。

膨大な書類確認や検査を手作業に頼り、到着ロビーへたどり着くまでに5時間以上かかるケースが緩和前から頻発。

海外では簡略化が進み、日本も改善が急務だ。


7時間待ち

4月上旬の夕方、成田空港内に設置された臨時の検疫エリアは、陰性証明書の確認や抗原検査を待つ入国者でごった返していた。

カナダから帰国した女性は「機内でも待って計7時間くらいかかった」と疲れた様子。

ハワイ在住の日本人女性も「全ての作業がアナログ。

密集するエリアも多く、感染しないか不安だった」と振り返った。


空港検疫では、入国審査前に感染の有無を調べる検査を受けたり、日本政府指定のアプリをスマートフォンに複数入れておいたりする。

空港関係者は「全てを確認するための “関所” が多く、長時間の拘束が常態化している」と話す。


7,000人が上限だった4月上旬でも、到着便が集中する夕方や休日は混雑が目立った。

空港施設は入国者全員への検疫を想定した造りにはなっておらず、一部の搭乗口や連絡通路に仮設のスペースを設置。

スタッフは航空会社などから派遣を受けている。


運用改善模索

外務省などによると、海外は3月末時点で、米国、英国、ドイツ、フランス、インド、ベトナムが到着時の検査を免除するなど、ワクチン接種済みで搭乗前に陰性だったと証明できれば手続きを簡素化する動きが本格化。

一方、感染者の増加が目立つ中国やタイ、マレーシアは検査や隔離を義務付けるなど、慎重な国もある。


日本の水際措置を一気に緩めることには慎重論が根強い。

空港で陽性が発覚する入国者が増えており、オミクロン株派生型「XE」の国内初感染も確認されたためだ。


ただ、欧米に比べて厳しい水際対策には、経済団体から「鎖国」との批判が強まる。

航空会社は国際線の早期回復が喫緊の経営課題で、さらなる緩和を求めている。

大手旅行会社もハワイ行きツアーの再開を決め、海外渡航の機運が高まりつつある。

厚生労働省の関係者は「全員検査の負担が重くなっているのは事実。

最適な運用方法の検討を進めている」と説明した。



(2022年5月1日号掲載)