2023年5月17日
米最高裁の保守派判事クラレンス・トーマス氏 (74) が共和党支持者の富豪から便宜供与を受けた疑惑が次々と浮上し「常軌を逸している」と批判が出ている。
長年にわたる豪華旅行接待を報じたニュースサイトは5月初旬、親族が通った寄宿学校の費用を供与されていたことが新たに分かったと伝えた。
最高裁判事は終身制で、トーマス氏は1991年に就任した。
米国の非営利・独立系報道機関プロパブリカ (ProPublica) によると、その親族は甥 (おい) の息子で、2008年からジョージア州にある全寮制の私立学校で学んだ。
授業料は月6,000ドル (約81万円) を超え、共和党の大口献金者として知られる不動産王ハーラン・クロウ氏の会社が支払っていた。
親族はこの学校に約1年通い、前後にバージニア州にある別の寄宿学校にも在籍。
クロウ氏側は両方の費用を負担し、総額は不明だが約10万ドル (約13万5,000円) に上る可能性がある。
トーマス氏は数年後に別の友人から教育費として5,000ドル (約68万円) を贈られた際は公表した一方、クロウ氏側からの学費提供は財務報告に記載していなかった。
トーマス氏はクロウ氏から20年以上にわたり豪華旅行の接待を受けていたことが明らかになっている。
2019年には、クロウ氏のプライベートジェットや豪華ヨットでインドネシアなど海外を旅行し、総費用は50万ドル (約6,790万円) を超えた可能性があるが、開示していなかった。
トーマス氏側は2014年、クロウ氏側に不動産を売却したが、これについても開示しておらず、違法だとの指摘がある。
トーマス氏の母が暮らす家も含まれ、クロウ氏側は購入後に屋根を修繕したり、新たな門やフェンスを設置したりするなどのリフォームを施した。
ブッシュ (子) 政権の倫理担当弁護士を務めたリチャード・ペインター氏は「私が見たことのないほど過剰な贈り物だ」と問題視している。
(2023年6月1日号掲載)