2021年5月17日
ワシントンDCの地下鉄の営業運転車両を将来、日系メーカー製で独占する可能性がある。
運行するワシントン首都圏交通局が明らかにした。
2024年から次世代車両を納入予定の日立製作所グループが全て追加受注すれば、川崎重工業の既存車両を含めた日系メーカーだけの態勢となる。
ワシントン地下鉄では、かつて主力だった欧州系メーカー製車両で故障が問題化していた。
川崎重工の車両7000系が2015年に営業運転を始め、現在は車両全体の半分超を占めたことで信頼性が大きく改善した。
2025年から営業運転見通しの日立とともに日系勢が米首都の足を独占して高い評価を得れば、鉄道車両を世界へ売り込む「ショールーム」の役割を果たしそうだ。
日立は今年3月、次世代車両8000系256両を設計、製造する契約を結んだと発表。
この契約には追加受注があった場合に最大で計800両を納入することが盛り込まれ、その場合の金額は22億ドル (約2,400億円) となる。
交通局は日立側に800両発注する場合、欧州系メーカーが製造した旧型営業車両を全て置き換え、計748両を導入した川崎重工製を含めた日系車両で「統一する」と話す。
日立製車両を巡っては5月、英国で車体に複数の亀裂が見つかるトラブルが起きており、安全対策の徹底が急務となる。
日立の8000系は車体を軽量化し、走行のエネルギー効率を高める。
現地に車両を組み立てる工場を設け、雇用創出にも一役買う考えだ。
ワシントンの地下鉄は6路線ある。
ホワイトハウスや官庁街などがある中心部と近郊を結んでおり、通勤客や観光客らに広く利用されている。
*写真は、ワシントンの地下鉄WMATAグリーンライン、ギャラリー・プレイス・チャイナタウン駅で停車中の日立製8000系車両
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(2021年6月1日号掲載)