2021年3月5日
グーグルは3月3日、さまざまなウェブサイトを見た個人の閲覧履歴を追跡する技術を使用しない方針を示した。
この技術は個人の関心に合わせたターゲティング広告の配信に使われている。デジタル広告で高い市場シェアを握るグーグルの取り組みは、広告業界に影響を与えるとみられる。
インターネット上で個人データが収集されていることに懸念や批判が強まっており、プライバシー保護を優先する。
グーグルは自社サービスで膨大なデータを集め、代替技術の開発も進めており、市場支配力が一段と強まる可能性もありそうだ。
グーグルは昨年、2022年までに自社の閲覧ソフト「クローム」で、広告会社などが閲覧履歴を追跡できる機能を停止すると発表。
今回は他社が開発した類似の追跡技術も含めて、クロームから排除する方針を改めて打ち出した。
グーグル幹部は3日の公式ブログで「(このままでは) 消費者の期待に応えられず、規制強化にも対応できない」と指摘。
代替手段として、個人を特定せずに同じような関心を持つ人をグループ化してターゲティング広告を利用する技術を開発している。
米メディアによると、ターゲティング広告の制限につながるグーグルの方針に同業他社から不満の声が出ている。
英当局は、閲覧追跡技術の停止がデジタル広告をめぐるグーグルの優位性をさらに高め、競争を阻害する恐れがあるかどうかを調べている。
米IT大手では、広告収入に依存していないアップルがプライバシー保護の機能強化で先行。
ただ、アプリ開発業者の個人情報収集を制限するため、交流サイトのフェイスブックが反発。
両社の対立が深まっている。
Photo:© BigTunaOnline / shutterstock.com
(2021年3月16日号掲載)