違法ドラッグ ② Illegal Drugs(2015.8.1)

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dr kim new     金 一東

日本クリニック・サンディエゴ院長

日本クリニック医師。
神戸出身。岡山大学医学部卒業。同大学院を経て、横須賀米海軍病院、宇治徳洲会等を通じ日米プライマリケアを経験。
その後渡米し、コロンビア大学公衆衛生大学院を経て、エール大学関連病院で、内科・小児科合併研修を終了。スクリップス・クリニックに勤務の後、現職に。内科・小児科両専門医。


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違法ドラッグ 

Illegal Drugs

       
       

前回に引き続き、違法ドラッグについて解説します。

 

前回も説明した通り、今回解説するモルヒネやオキシコドンも違法なドラッグではありませんが、違法に使われることがあるので、そういう意味で違法ドラッグの範疇に入れています。

 

 

 

◆ 麻薬(Narcotics)◆

 

麻薬はケシの実由来の物と、完全に化学的に合成された物に区別されます。

 

前者の例には、モルヒネ、コデイン、ヘロイン、オキシコドン、ハイドロコドンなどが、後者の例には、メペリディン、フェンタニル、メタドンなどがあります。

 

<ヘロイン>

麻薬の一種で、非常に依存性が高く、最も速効性のある麻薬です。ヘロインはケシの実に由来するモルヒネから生成されます。

  • 俗称 ― Big H、Black Tar、Chiva、Hell Dust、Horse、Hegra, Smack、Thunder。
  • 形状 ― 白色または茶色の粉末、あるいは Black Tar と呼ばれるような黒い棒状で売買されています。純粋なヘロインがより一般的になる一方で、他のドラッグや砂糖、粉ミルクなどに含まれて売買されていることもあります。
  • 使用 ― 注射、口や鼻から摂取。
  • 体に対する影響 ― 注射、吸入などで脳に急速に達します。そして多幸感、高揚感を感じます。さらに睡眠と覚醒のどっちつかずの状態になります。身体的、精神的依存症になりやすく、薬に対する耐性が容易につくので、同じ効果を得るために使用する量が増えていきます。
  • 体に対する害 ― 眠気、呼吸抑制、虹彩縮小、嘔気、皮膚の冷感、口渇、中毒になりやすく、中毒になると更なる呼吸抑制、チアノーゼ、けいれん、意識喪失、死など。

 

 

 

<モルヒネ>

 

モルヒネは、ケシの実から採取した乳液状の物質を精製したアヘンの主要構成物質で、非常に依存性になりやすく、激しい痛みに効果があるので医療で使われています。因みに、ケシの実からはモルヒネ以外にも、コデイン、オキシコドン、ハイドロコドンなどが由来します。

  • 俗称 ― Dreamer、Emsel,First Line,、God’s Drug、Hows、M.S. Mister Blue。
  • 形 状 ― 錠剤、カプセル、シロップ、坐薬、注射液など。
  • 使用 ― 経口、坐薬、注射など、いろいろなルートで体内に入ります。
  • 体に対する影響 ― 使用によって多幸感や高揚感を感じます。強い鎮痛効果があるので、末期がんに対する痛みなどに使われています。その他、飢餓感を抑えたり、咳止めの効果があります。
  • 体に対する害 ― 冷感、冷たい皮膚、血圧低下、眠気、呼吸抑制、意識障害、死。

 

 

 

<オキシコドン>

 

オキシコドンはケシの実の構成物質から合成された半合成薬で、麻薬中毒者が好んで使うドラッグです。

 

アセトアミノフェンと合剤になって鎮痛剤としてよく使用されます。

 

似た鎮痛剤にバイコデン (ヒドロコドンとアセトアミノフェンの合剤) があり、最近トヨタのアメリカ人役員がアメリカから日本に輸入し、麻薬法違反で逮捕されて話題になりました。

 

アメリカでは腰痛などでよく使用される薬ですが、依存性があり、高齢者の長期使用などで問題になっています。

  • 俗称 ― Hillbilly Heroin、Kicker、OC、Ox、Roxy、Perc、Oxy。
  • 形状 ― 錠剤かカプセル。
  • 使用 ― 錠剤をつぶして鼻で吸入するか、水に溶かして注射をする。錠剤を加熱して吸引することもあります。
  • 体に対する影響 ― 多幸感と安堵感をもたらし中毒になりやすい。鎮痛効果あり。
  • 体に対する害 ― 呼吸抑制、便秘、肝障害、眠気、筋力低下、皮膚冷感、意識障害、死。

 

 

 

 

◆ 幻覚剤 (Hallucinogens)◆

 

幻覚剤は植物やかび由来、あるいは合成されたもので、古くから使用されています。

 

幻覚を起こすキノコは中学生、高校生によく使用されています。

 

MDMAは錠剤、LSDは紙片状になっていることもあります。

 

 

 

<MDMA>

 

MDMAは中枢神経刺激作用と幻覚作用があります。

 

合成ドラッグで、パーティーでよく使われるのでパーティードラッグとも呼ばれています。

 

単独で使用されることもありますが、他のドラッグと一緒に使われることがよくあります。

  • 俗称 ― Adam、Beans、Clarity、Disco Biscuit、Ecstasy、Eve、Go、Hug Drug。
  • 形状 ― 主に錠剤ですが、カプセル、粉、液体になったものもあります。
  • 使用 ― 経口ですが、つぶして鼻から吸入することもあります。
  • 体に対する影響 ― 多幸感、親密感、触感に過敏になる、エネルギーレベルを上げる、性的に感じやすくなる、快感を求める。
  • 体に対する害 ― 記憶や学習に障害が出る。不安、意識障害、うつ気分、妄想、睡眠障害、依存症、けいれん、肝障害、腎障害、死。

 

 

 

<LSD>

 

LSDは非常に幻覚作用が強く、依存性が高いドラッグです。

 

1960年代のヒッピー全盛の頃に盛んに使われ、LSD使用による幻覚に影響を受けたサイケデリック・アートも生み出されました。

 

  • 俗称 ― Acid、Blotter Acid、Dots、Mellow Yellow、Window Pane。
  • 形状 ― 錠剤、カプセル、液体、あるいはLSDを浸み込ませた紙片もあります。
  • 使用 ― 経口。
  • 体に対する影響 ― いろいろな幻覚を経験します。時間、形、色、サイズ、動きなどに対する知覚が増幅されたり鈍化したり、変化をします。
  • 体に対する害 ― 危険なものに対する判断力が低下するので、事故や外傷を負いやすくなります。不安、うつ気分、フラッシュバック、精神症状、死。
 
この記事に関するご質問は日本クリニック(858) 560-8910まで。過去の「アメリカ健康ノート」の記事は、私のウェブサイトwww.usjapanmed.com またはwww.dockim.com で読むことができます。
 
(2015年8月1日号掲載)

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