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永野 文久
米国公認会計士 昭和17 年生まれ。 昭和41 年東京大学卒。同年三和銀行入社。
ご質問、ご連絡はこちらまで昭和58 年米国公認会計士。 |
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カリフォルニア州における法人課税所得按分方法の新選択制度 | ||
アメリカの企業の年度末決算において、最終利益の判断には法人所得税も大きな影響を与えますが、この法人所得税には周知の通り連邦税と州税があります。 連邦税はもちろん全国一律の税法で規定されていますが、州税に関しては「合州国」であることを反映して各州は独自の課税権を有しています。 つまり、各州にどのように課税所得を按分するかといったことまで州ごとに決められています。 このため、日本のように地方税課税のための全国一律の分割基準というものがなく、課税所得の按分だけでも非常に複雑な体系になっています。 今回は、多く日系企業が事業の本拠点とし、連邦の次に多額の税金を納めているカリフォルニア州について、その課税所得按分方法の新たな選択肢導入を紹介したいと思います。
米国内における州法人所得税の概要 米国内において事業を行っている企業の多くは、複数の州に事業所を構えたり、その事業所の所在地以外の複数の州を跨いで事業活動を行っています。 そのような場合、事業を行っている複数の州へ申告納税義務が発生することが多いものです。 その際の各州への納税額の算出方法はそれぞれの州の税法により様々ですが、代表的な流れは次のようなものです。 まず、連邦の申告書にて報告された連邦課税所得を出発点とし、連邦税法と州税法の違いを勘案し調整を加え、州税目的の課税所得を算出します。 そして、この州税目的の課税所得に当該州に適用される「按分率 (apportionment factor)」を乗じて州課税所得を算出し、それに州税率を乗じて当該州への納税額を算出します。 上述したように、州税目的の課税所得の各州への按分方法もまた、各州において独自に規定されています。
カリフォルニア州へ按分される課税所得の新按分方法 そして、以下に概説する従来の按分方法と新按分方法のどちらの方法を採用するかは、銀行や農業などの一部の事業を除いて、各企業が有利な方を各年度ごとに毎年選択できることとなりました。
▽従来の按分方法 (Standard Method, Three-Factor Formula) 3 Factor Formula (売上、資産、給与) を使用する方法。 売上比率 (カリフォルニア州内の売上÷全米の合計売上) を算出し、同じ条件で資産比率、給与比率も算出する。 その後、[(売上比率 x 2) +(資産比率)+(給与比率)] ÷4 と計算し、カリフォルニア州への按分率を求める。 このように算出されたカリフォルニア州按分率を、州税目的の課税所得 (連邦の課税所得にカリフォルニアの税法で定められた調整を加えた所得) に乗じ、カリフォルニア州課税所得を算出する。
▽新按分方法 (Alternate Method, Single-Sales Factor Formula) Single Sales Formula (売上のみ) を使用する方法。 上記と同じ方法で売上比率を算出する (2は乗じない)。 この売上のみのカリフォルニア州按分率を使用し、上記の従来と同じ方法でカリフォルニア州課税所得を算出する。
按分方法の選択の仕方とタイミング この付表は2011年11月の時点ではDraft版のみの発行に留まっており、まだ最終版は発行されていません (*後記リンク参照)。 選択を行う時期は年度ごとの申告書の申告期限日です。 カリフォルニア州の場合は、例えば会計年度が12月末で終わる企業の税額の納税期限は翌年の3月15日ですが、申告書の提出期限は自動延長制度を採用しているために、特別に申告期限延長申請書などを提出しなくても、自動的に翌年の 10月15日となります。 従って、この按分方法の選択も10月15日までに行われれば申告対象年度に関して有効となります。 なお、申告期限までに申告書を提出しない等選択のタイミングを逸した時は、従来の3 Factor Formula が適用となります。
按分方法の選択制度の今後の行方 しかし、2012年度以降もこの選択制度がカリフォルニア州において存続するかどうかは不透明です。 売上比率のみでカリフォルニア州税目的の課税所得を按分するSingle Sales Formulaを義務化する内容を含んだ法案も、カリフォルニア州議会上院で審議されています。 *参考:カリフォルニア州当局 2011 Schedule R ドラフト |
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※注意:このコラムは米国での税務に関する一般論的概説ですので、実際の案件については個別に専門家の意見を求められるようにお願いします。 | ||
(2011年12月1日号掲載) |