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永野 文久
米国公認会計士 昭和17 年生まれ。 昭和41 年東京大学卒。同年三和銀行入社。
ご質問、ご連絡はこちらまで昭和58 年米国公認会計士。 |
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日本版SOXの適用から3年後の今をみる | ||
エンロン事件等の会計スキャンダルを受け、2002年に米国では Sarbanes-Oxley 法が実施されました。 一方、日本においても財務報告に係る内部統制の重要性が認識され、2006年6月に金融庁より「金融商品取引法」が公布され、いわゆる日本版SOXが2008年4月開始事業年度より上場企業に適用されました。 その時から3年以上が経過したのです。 この間、米国内の日系企業においても内部統制に関する基準や規則が浸透しつつあると思われます。 さらに、米国監査基準 (Statement on Audinting Standards=SAS) の115号 “Communicating Internal Control Related Matters Identified in an Audit“ (「監査で識別された内部統制に関するコミュニケーション」) により、2010年以降の監査において、監査人は被監査会社の経営者に内部統制に関する重大な不備や重要な欠陥を、文書で報告することが求められています。 これは上場・未上場とは関係なく、すべての企業監査を対象に適用されます。 こうした状況下、米国現地法人の経営者の方々の間でも、適切な内部統制の構築および運用が重要であるという認識が更に進んできていると思われます。 そこで今回は、内部統制に関する簡単な質問を通して、内部統制の概念を再度確認することとしたいと思います。
内部統制の知識チェック
問題1:次の要素のうち、どれが企業組織そのものの気風を決定し、組織内の統制に対する意識を与える内部統制の基本的要素でしょうか。 ⓐ 統制活動(Control Activities)
問題2:次のうち、どれが不正を防ぐコントロールとして最も効果的なものでしょうか。 ⓐ 隠し監視カメラ
問題3:A社において最近、従業員の不正が発覚。その不正とは、経理担当者が勝手に会社の小切手を使い、個人の遊興費 (2,000ドル) に使っていたというものだった。その担当者は、密かに妻が代表者のインターネット通販会社宛に小切手を振り出し、銀行勘定調整表を操作して隠蔽 (いんぺい) していた。A社には事務量が少ないため、経理担当者が一人しかおらず、その担当者が経理・財務事務を一手に引き受けていた。—— この問題に対処する内部統制手段として、どれが最も適切でしょうか。 ⓐ もう一人、支払処理専門の人員を雇用する
問題1の答え:ⓒ 統制環境 COSO (Committee of Sponsoring Organization) によれば、内部統制の要素には統制環境、リスク評価、統制活動、情報と伝達およびモニタリングの5つがあります。
問題2の答え:ⓓ ニセ監視カメラ 内部統制活動の手法には予防的統制 (preventive control) と発見的統制 (detective control) があります。
問題3の答え:ⓓ Positive Pay System を導入する 職務権限の分離は、内部統制活動の基本的な手法です。
内部統制の企業へのベネフィット 米国公認会計士協会 (AICPA) によると、次のベネフィットが考えられます。
内部統制と監査 日本版SOX法が適用された当初は、慌しく文書化などの作業に追われたかと思われます。 しかし今となっては、企業組織・人事編成そのものの変化やITシステムの進歩など、必ずしも3年前に作成されたものが有効に機能するとは限りません。 3年が経過した今、もう一度、内部統制の整備・運用状況を見直すことも肝要です。 |
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※注意:このコラムは米国での税務に関する一般論的概説ですので、実際の案件については個別に専門家の意見を求められるようにお願いします。 | ||
(2011年11月1日号掲載) |