Tuesday, 08 October 2024

研究者の永住権取得 (2013.8.16)

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吉原 今日子

yoshihara face米国カリフォルニア州弁護士

USDにて経営学修士(MBA)を取得。
その後、法学博士(JD)を取得。

会社の経営、組織体系、人材の重要性を常に念頭に置いた法的アドバイスを行います。カリフォルニア州弁護士会、米国移民法弁護士会所属。

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研究者の永住権取得
       

Q 私は医療関係の研究に従事しており、カルフォルニア州の研究所で勤務しています。

しかし、その研究所では永住権申請のサポートは難しいといわれました。

私は日本の大学で、PhD を持っており、研究に関する出版物も多く出版されています。

 PhD 取得者は、グリーンカードが取りやすいと友人から聞いたことがあります。

私の場合、スポンサーなしでグリーンカードの申請ができるのでしょうか?

 

 

A あなたのようにPhD を取得している人は、確かに永住権(グリー ンカード)を通常より短期間で取得することができ、研究所のサポートが無くても、永住権を申請することは可能です。

あなたの場合は、永住権申請における第1優先のカテゴリーに該当します。

このカテゴリーでは、第2、第3優先のように、「Labor Certification(労働許可)」を取得する必要がありませ ん。

しかしながら、PhDを保持しているだけで、それが可能なわけではありません。

 

 

「高度な特殊技能者」として、ビザではなく永住権を申請するには、以下の10 条件のうち、少なくとも3つを満たしている必要があります。

① 国際的に価値のある賞を受賞したことがある
 

② 当該分野の功績者で構成される団体 に属している
 

③ 申請者に関して言及した内容の出版物がある
 

④ 申請者が当該分野において、他者を審査したことがある
 

⑤ 申請者が、当該分野で多大な貢献をした
 

⑥ 申請者が、当該分野の学術的記事を執筆したことがある
 

⑦ 申請者の作品が、展示されたことが ある
 

⑧ 名声のある団体・組織等において重要な役割を担ったことがある
 

⑨ 申請者が、当該分野における他者と比べ、高い報酬を得ている
 

⑩ 申請者が芸術・芸能関係の分野に属する場合、その分野において高い人気・評判を得ている

 

 

これらの条件を満たすには、確かに PhD を取得したというだけでは十分ではありません。

しかし、あなたのようにPhD取得後、研究活動に従事し続けているような場合には、その過程においてこれらの条件を、必然的に満たしている場合もあります。

逆に、前記の条件を3つ以上高度なレベルにおいて満たしていれば、必ずしもPhD を取得している必要はありません。

例えば、有名芸能人やスポーツ選手も、このカテゴリーにおいて永住権の申請・取得が可能です。

 

 

 

雇用者が存在しなくても永住権の申請が可能

 

前記条件の具体的な証明方法としては、当該分野の専門誌に掲載されたことがあればそのコピー、当該分野における著名人、または業績を評価できる立場にある団体からの推薦状を提出するのが好ましいです。

当該分野において他者を評価したり審査する立場にあったり、以前その立場にいたことがあれば、それに関する資料を提出すれば、申請には非常に有効だと言えます。

また、この申請方法の最大のメリットは、具体的な雇用者が存在しなくても良く(もちろんいればプラスです)、当該分野において申請者がいかに仕事を行っていくかの説明のみで足ります。

ですからあなたの場合も、研究活動が、あなたの米国での滞在を十分なものにすることを説明すれば、雇用者が存在しない場合の申請の条件には十分でしょう。

また、申請者の仕事が、米国の国益に貢献していると証明することで、雇用主の必要性が免除される申請方法もあります。

これは、申請のカテゴリー自体が異なります。

そして、先の10 条件のうち最初の7つ(①~⑦)において、少なくとも2つ以上を満たす必要があります。

申請者の米国での活動が国益になる。

すなわち利益を得ることが出来るという証明が必要です。

 

この申請方法では、雇用主を見つける必要がなく、またLabor Certification の審査過程を経る必要もなく、I-140 による申請のみで済みます。

あなたの場合、このI-140 の申請に加え、I-485、およびI-765(就労許可)の申請を同時に行えば、申請後約2~3か月で労働許可を取得できるでしょ う。

そして、その時点から自由に仕事を行うことができます。

また、永住権もおよそ1年弱で取得できるでしょう。

 

この記事は、参考として一般的な概要をお伝えすることを目的としたものです。各ケースのアドバイスは必ず弁護士及び専門機関にご相談下さい。

(2013年8月16日号掲載)

     

 

 

 

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