Q 来年4月に H-1ビザ申請を考えています。
抽選の有無について諸説があるようですが?
A H-1Bビザは、アメリカの会計年度が更新される10月1日から有効になりますが、6か月前に請願申請が受け付けられるので、4月1日が出願開始日となります。
過去には、定員がすぐに一杯になってしまうことから、初日に間違いなく受理されるべく、前日に移民局宛の大量の出願物が送達されることになり、特に西海岸地区では、フェデックス便輸送機に収まりきらないほど大量の移民局行きの翌日便書類が発生し、送達が遅れたとか、当日に移民局でも大量の郵便物受取りの対応に追われ、宅配業者、郵便局などの送達車両の長い列ができた —— などというエピソードもありました。
出願数が定員を超えた場合に抽選となりますが、2008年に163,000件を記録した後、2009〜2012年は不景気のため、H-1B雇用も減少し、一気にH-1Bビザが定員になるという現象はなくなったかのようで、8月くらいまで請願が受け付けられていました。
しかし、それはもう夢のような話です。
その後、景気が回復するとともに、IT技術者雇用のためにH-1B需要が急増し、移民局は再度、H-1B請願受付開始と同時に瞬時に定員到達となることを見越して、混乱と集中を防ぐため、請願の受付日を4月1日から5日間としましたが、昨年にはこの5日間に、何と124,000件ものH-1B請願が殺到したのです。
今年はさらに多くの出願があり、定員の2倍近く、172,500件にも及ぶ請願が提出されました。
Q 抽選にもれた場合、申請料は戻るのですか?
来年枠への優先制度などはありますか?
A 抽選で選ばれなかった請願は審査を受けませんので、そのまま、書類が丸ごと返却されます。
申請料のチェックも未処理のまま返還されます。
しかし、残念ながら、次年度申請が再び抽選になった場合に、優先的に審査されるということはありません。
Q H-1B申請者の内訳はわかりますか?
A 昨年度の統計データによりますと、昨年度は何と合計494,467件ものH-1B請願が申請されました。
これは、非営利団体や研究団体、政府機関などを申請者とするため、H-1B定員の対象外になっている場合や、ビザ延長のための請願を含みますので、明らかに85,000の定員を上回ります。
申請者の職種では、システムアナリスト、プログラマー、アプリケーションディベロッパー、他にコンピューター関係職、システムディベロッパーなど、IT系が上位5位で63%を占めていました。
続いて、会計士や監査士が4%、マネージメントアナリスト、ファイナンシャルアナリスト、と1桁 (けた) 台が続きます。
州別には、カリフォルニア州が断然トップで19%、次が意外にもテキサス州で9%、3位がニューヨーク州で8%、4位がニュージャージー州、5位がイリノイ州でした。
企業別では、1位がプライスウォーターハウスクーパース社で56,495件も獲得しています。
同社は会計・監査を中心とする大手国際総合コンサルティング事務所です。
次がコグニザントテクノロジーソルーションズ (54,738件)、デロイトコンサルティング (45,847件)、そしてワイプロ、タタコンサルタンシー、インフォシスと続きます (後者3社はインドのITコンサルティング会社)。
延長申請を含むとはいえ、このように一部の大手企業により大量のH-1B請願が提出されており、ビザが独占されていることを考えると、 個々の請願が微々たるものに思えてきますが、請願者の規模にかかわらず、抽選は無作為抽出により行われますので、あなたにも同様のチャンスがあります。
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