Thursday, 21 November 2024

Eビザで転職 (2014.9.16)

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ishinabe_face.gif石鍋 賢子

米国カリフォルニア州弁護士

上智大学外国語学部英語学科出身。ビジネス系の移民法専門弁護士として20 年の経験を持つ。グレイ・ケリー・ウェア&フリーデンリッチ、ララビー&アソシエーツ等法律事務所勤務を経て、独立し、事務所設立。

米国弁護士会(ABA)、サンディエゴ弁護士会(SDCBA), 米国移民法弁護士会(AILA) 会員。サンディエゴ在住19 年。

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Eビザで転職

       

Q 3年ほど前に、日本の本社からマネージャーとして海外赴任することになり、サンディエゴにやって来ました。

ところが、最近経営が悪化しているのと、仕事の内容に不満があり、せっかくアメリカに来ているので、現地での転職を考えています。

Eビザはまだ2年分残っています。

Hビザは定員があり、次年度分はもう一杯なので、承認されても来年10月まで働けないと聞きましたが、今のEビザを生かして、他の日系企業へ就職できるでしょうか。

 

 

A Eビザは、他の就労ビザ同様、企業に帰属するものですので、転職する場合は、事前に承認を得ておく必要があります。

Eビザは、同じく海外赴任の場合にも使われるLと異なり、海外関連企業での勤務経験が必要ではありませんので、系列企業以外でも、現地採用としての転職が可能です。

ただし、Eビザ申請企業の条件として、出資比率からして過半数が日本人または日本の法人が出資していることが必要です。

転職の場合、

① 国内で移民局へ雇用者変更のための請願を提出する (新しいI-94カードが発行される)、

または、② 初回のときのように、海外の領事館や大使館 (以後、大使館とします) へ、雇用者変更によるビザスタンプの再発行を直接申請する ——

の方法があります。

 

 

① の場合、アメリカ国内で手続きを行うことができ、その後帰国する必要もないので、ずっとアメリカから出ない人にとっては便利といえば便利ですが、逆にビザスタンプはそのままになりますので、その後アメリカを出国すると移民局での承認が無効になってしまうので、結局 ② を行わなければならなくなります。

つまり、今後全くアメリカから出国する予定がない、という人向けです。

② の場合は、米国法人が既にEビザの企業登録をしているかによって手順が分かれます。

企業登録、つまり日本の大使館で過去にEビザの申請を行っており、登録が有効であれば、大使館サイトを通じて、インターネットで面接予約を取り、面接日にビザ申請書および必要に応じて関連書類を持参して提出する、という形で手続きを行うことができます。

企業登録が行われていない、または失効しているという場合、まず申請書類および企業登録のための会社資料一式を直接大使館へ送付提出し、審査を待ちます。

審査期間はインターネットには8週間前後と書いてありますが、実際には2〜3週間で済むことが多いものです。

企業登録の審査が終わり、企業、本人とも条件を満たしていると判断されれば、出頭して面接を受けるための指示が大使館からFaxで届きます。

書類が不足していると思われる場合には、追加書類を提出するようにFaxが届きます。

追加書類の提出によりOKであれば、上記のように面接に関する指示があります。

ですから、もし転職先でEビザの企業登録がない場合は、準備を進めてもらい、企業登録審査が行われている間、現在の雇用関係を維持し、面接の指示があったところで一度帰国し、ビザが発給されたらアメリカへ戻り、転職、という流れになります。

 

 

Q 何か注意点はありますか。

 

A 最近、ティファナに工場を持つマキラドーラ企業に関して、Eビザの審査が厳しくなっています。

受益者本人が条件を満たしている場合でも、スポンサーとなる米国法人がアメリカ国内で実際に事業を展開していない (実態がメキシコにある) と解釈されたり、更新申請者について、過去のメキシコ出入国歴から、受益者はアメリカではなく、メキシコで仕事をしているのではないかと見られ、更新を却下されたりする例が報告されています。

アメリカで就労するためのビザであることを立証することが必要です。

 

 
この記事は、参考として一般的な概要をお伝えすることを目的としたものであり、個々のケースに対する法律のアドバイスではありません。

  (2014年9月16日号掲載)

     

 

 

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