Tuesday, 14 January 2025

日本から行う永住権手続き (2015.3.16)

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ishinabe_face.gif石鍋 賢子

米国カリフォルニア州弁護士

上智大学外国語学部英語学科出身。ビジネス系の移民法専門弁護士として20 年の経験を持つ。グレイ・ケリー・ウェア&フリーデンリッチ、ララビー&アソシエーツ等法律事務所勤務を経て、独立し、事務所設立。

米国弁護士会(ABA)、サンディエゴ弁護士会(SDCBA), 米国移民法弁護士会(AILA) 会員。サンディエゴ在住19 年。

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日本から行う永住権手続き

       
 

Q 学生ビザで留学していましたが、このたびアメリカ人男性と結婚したので、永住権の申請をしようと思います。

でも、父の具合が悪いので、一度日本に帰って、少し落ち着いてからアメリカへ戻るつもりです。

その期間を永住権の手続きにも充てたいと思っています。日本で申請する方法を教えてください。

 

A 既に結婚して配偶者がいて、日本で手続きを行う場合には2つの方法があります。

① 永住するための書類審査を一通り受け、大使館で「移民ビザ」 をパスポートに発給してもらう。アメリカへ入国する際、空港窓口に規定の書類を提出し、指紋を採られて「移民」 としてアメリカへ入国する。それで手続きは終了。その後、グリーンカードが送られてくる。

② 「配偶者ビザ」 を申請し、アメリカへ入国したら、移民局を通してアジャストメントの手続きを行う。

これに対して、アメリカに既に在住していれば、そのまま国内でアジャストメントオブステータスという形で申請する場合もあり、このケースは初めに書類を全部移民局へ提出し、後は指紋採取、面接となります。

アジャストメントでは手続き中ずっと、そのまま配偶者とアメリカ国内に滞在を続けることになるので、速いと感じられるかもしれません。

さて、移民ビザを取る場合では、大まかに分けて、①移民局へ配偶者が移民請願提出、② 国務省へ手数料の払い込み、③移民ビザのオンライン申請、④経済力に関する書類と関連書類一式送付、⑤健康診断 —— という別々のステップを経て面接となりますので、要領よく書類の準備を進めないと、大変長い時間がかかってしまいます。

とはいえ、ビザの発給により、すべての審査を終える形になりますので、空港の入国審査で「移民用」の窓口へ行くほかはアメリカ国内での手続きはなく、入国したら即ち永住者ということになります。

ちなみに、移民ビザの手続きでは、①の移民請願の審査期間は約5か月、④の書類審査から面接通知が発行されるまでの期間は約60日です。

一方、配偶者ビザを申請する場合は、やはりアメリカ人配偶者が移民局へビザのための請願を出しますが、本人がアメリカへ入国してから永住審査を行うということが前提のビザなので、入国しただけでは永住者にはなりません。

この配偶者ビザ請願の審査期間も移民ビザ請願の審査期間とほぼ同じです。

配偶者ビザを発給してもらった場合は、その後、他の非移民ビザ保持者と同様に入国し、後日、移民局へアジャストメントオブステータスの書類を提出します。

 

 

Q カリフォルニア州内に住む姉がアメリカ市民権を持っていますが、両親をスポンサーしてアメリカへ呼ぶことはできるでしょうか?

 

A「スポンサーしてアメリカへ呼ぶ」 とは、永住権申請のことでしょうか。

この場合も配偶者のケースと同様、アメリカ市民の両親という家族関係に基づいて、日本で移民ビザを各自発給してもらう手続きを行うことができます。

お姉さまはそのままアメリカ在住で、アメリカの移民局へ父親と母親の移民請願を別々に提出します。

その後の手続きは配偶者の場合と同じです。配偶者の場合は結婚年数が2年未満だとテンポラリーのグリーンカード (条件付永住権) となりますが、親子関係の場合は初めから10年更新のグリーンカードとなります。

親子関係の場合は「配偶者ビザ」 のような、入国後にアメリカで永住手続きを行うための渡米ビザはありませんが、既にESTAにてアメリカに入国していて滞在期間が残っていれば、そのままアジャストメントオブステータスを申請する場合もあります。

 

この記事は、参考として一般的な概要をお伝えすることを目的としたものであり、個々のケースに対する法律のアドバイスではありません。

  (2015年3月16日号掲載)

     

 

 

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