Tuesday, 14 January 2025

永住権スポンサーに収入がない?指紋採取について (2015.7.16)

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ishinabe_face.gif石鍋 賢子

米国カリフォルニア州弁護士

上智大学外国語学部英語学科出身。ビジネス系の移民法専門弁護士として20 年の経験を持つ。グレイ・ケリー・ウェア&フリーデンリッチ、ララビー&アソシエーツ等法律事務所勤務を経て、独立し、事務所設立。

米国弁護士会(ABA)、サンディエゴ弁護士会(SDCBA), 米国移民法弁護士会(AILA) 会員。サンディエゴ在住19 年。

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永住権スポンサーに収入がない?指紋採取について

       
 

Q 私はアメリカ国籍を持っています。

 

サンディエゴに滞在中の日本人と再婚を考えているので、永住権のスポンサーになろうと思いますが、現在大学院に在学中で収入がありません。

 

アフィダビット・オブ・サポート (経済援助宣誓書) はどうすればいいでしょうか。

 

 

 

A 永住権取得のための手続きの一環として、スポンサーとなる請願者は経済援助宣誓書を提出しなければなりません。

 

これは、永住者が政府の負担にならないという条件を満たすため、万が一、永住者が連邦政府による特定の生活保護の受益者となった場合は、スポンサーが政府にその費用を払い戻す契約に合意する、という性格のものです。

 

 

金額の目安としては、連邦政府が発表する貧困インデックスが用いられ、該当する家族者数の数値の最低125パーセント (スポンサーが現役米軍人の場合は、貧困インデックスの100パーセントの数値) 必要です。

 

ちなみに、2人家族のカリフォルニア州の貧困インデックスは15,930ドルですから、最低19,912ドル (軍務関係者は15,930ドル) の年収があれば、永住権スポンサーとして条件をクリアできます。

 

 

 

 

 

 

 

Q これは主人 (永住を希望する申請者) の収入でもいいのでしょうか。

 

 

 

A はい。

 

 

米国市民権を持つ妻が外国人夫をスポンサーする場合によくありますが、スポンサーが無収入 (主婦の場合など) で、受益者 (夫) の就労所得に100パーセント依存する場合でも、同様の勤労所得が永住権取得後も継続すると考えられるのであれば、年収が上記の最低限を上回っていれば問題ありません。

 

 

 

 

 

Q 主人は近々定年退職の予定です。

 

 

年収の代わりに資産を使うことはできるでしょうか。

 

 

 

A はい。条件は、経済的に困難な状況を引き起こさずに、1年以内に現金化できる流動資産であること、金額的には、上記最低必要額と年収との差額の5倍相当の価値であることですが、今回のように受益者が米国市民の配偶者の場合は、差額の3倍相当になります。

 

預貯金、証券等の投資資産などが通常資産として使われますが、不動産の場合は市場価格マイナス家のローンや抵当などの負債を差し引いた金額となります。

 

 

なお、このような「宣誓書」を提出しても、将来受益者が生活保護を受けるようなことにならなければ影響ありません。

 

 

 

 

 

 

Q 主人は出張が多いので、予定どおり指紋採取に行けるかどうか心配です。

 

 

 

A 書類申請から約2~3週間後に指紋採取の通知が届きます。

 

 

それには指紋採取の場所 (チュラビスタまたはサンマルコスの指紋採取所)、日時の指定がされています。

 

 

ただし、この手続きは面接ではなく、窓口職員が本人確認後、機械的にグリーンカード用のデジタル写真と指紋を採取するだけの手続きですので、日時にさほどこだわる必要はありません。万が一遅れても、営業時間外にならなければ大丈夫です。

 

 

また、その日の都合が悪い場合、他の日時に行うことも可能です。

 

 

一つの方法は、通知を移民局へ返送して変更を申し立て、別の日時を指定してもらう方法です。

 

 

新しい指紋通知が発行されますが、発行までに1~2か月かかるかもしれません。

 

 

急に当日都合が悪くなったような場合、または再通知発行まで待ちたくない場合には、通知を持参して直接指紋採取所に出頭することも可能です。

 

 

この場合、いわゆる飛び入りになるわけで、無予約ですから、多少待たされるかもしれないことを覚悟しておいてください。

 

 

ただし、指定日に行きそこなってしまったからといって、そのままにしておくと指紋採取を拒否したとみなされ、永住権申請が却下されてしまう可能性もありますので、ご注意ください。

 

この記事は、参考として一般的な概要をお伝えすることを目的としたものであり、個々のケースに対する法律のアドバイスではありません。

  (2015年7月16日号掲載)

     

 

 

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