Tuesday, 10 December 2024

がんの化学療法障害に対する漢方の軽減効果(2014.8.1)

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son_new8.jpg曽 碧光

米国中医薬研究所所長

1932年台湾に生まれる。
東京大学農芸化学修士、米国カンサス大学微生物学修士、東京大学薬学博士、 元米国コネチカット大学病理学助教授、
第1 回世界中西医結合大会審査委員、セント・エリザベス病院 (ボストン) 筋ジストロフィー主任研究員、ドライ・アイ眼科研究所生化学顧問、元米国漢方研究所所長、現米国中医薬研究所所長。


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がんの化学療法障害に対する漢方の軽減効果
       

Q : 50歳の女性です。乳がんと診断され、1週間後に化学療法を始めることが決まりました。

化学療法にはいろいろな副作用があると言われていますが、漢方を一緒に使うと、その副作用を軽減できると聞いています。

どの漢方を併用したらいいのでしょうか。

 

 
A : 化学療法に使用されている抗がん剤は、腎臓、胃腸、骨髄に対して強い毒性があることが知られています。

従って、抗がん剤の副作用による腎臓障害の症状として血液中の尿素窒素(BUN)とクレアチニンの増加が見られ、骨髄障害では白血球、赤血球及び血小板の減少が現れます。

他に、免疫力の低下、全身の疲労感、脱毛、浮腫などの症状も現れ、患者を若しめています。


 日本や中国の病院では、漢方を使って化学療法による副作用の減少と防止に力を入れてきました。

腎臓疾患の治療に小柴胡湯と五苓散がよく併用されているので、池川医師らは化学療法による腎臓障害を軽減するために、抗がん剤と小柴胡湯・五苓散を一緒に患者に服用させた結果、抗がん剤服用によって起こる腎臓障害を軽減したばかりか、がんの緊殖を32%も抑制したと報告しました(J. Med. Pharm. Soc. WAKAN-YAKU 8 (1991) 89-95)。


 また、化学療法による白血球、赤血球及び血小板の減少防止によく使われている霊芝人参黄耆湯には免疫増強効果があるので、化学療法による免疫力低下防止にも役立ちます。

霊芝人参黄耆湯は全身疲労感の回復にも頻用されている漢方ですので、がん患者に最も愛用されている漢方です。


 私が発行している英文の漢方雑誌を読んで、近くの大学病院の医師と針灸師が彼らのがん患者の化学療法に漢方を併用したいと相談に来ました。

化学療法による腎臓障害の目安に、血中の尿素窒素とクレアチニン濃度を検索し、骨髄障害には白血球、赤血球と血小板の数値を指標としました。

結果として、漢方併用者の腎臓機能検査では正常値に近く、血球及び血小板の減少もほとんど見られませんでした。

また、漢方併用者には化学療法による脱毛と疲労感の症状が良かったので、患者に大変喜ばれました。

 













 
(2014年8月1日号掲載)      

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